人材アクティベーションLabhttps://ori-plan.com/hr-lab人材はノウハウで採用数、離職率が劇的に変わる。長年のノウハウを流出します。Tue, 07 Nov 2023 00:26:07 +0000jahourly1フレックス制度で何が変わる?企業を成功に導く新たな働き方とはhttps://ori-plan.com/hr-lab/operation/flex2023/Tue, 09 Jan 2024 16:00:22 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1456

近年、政府主導の働き方改革に伴い、労働時間管理の重要性が高まっています。2022年の働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されるなど、すべての企業が働き方改革に取り組む必要が出てきました。厚 ... ]]>

近年、政府主導の働き方改革に伴い、労働時間管理の重要性が高まっています。2022年の働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されるなど、すべての企業が働き方改革に取り組む必要が出てきました。
厚生労働省の調査によると、 導入率が高い大企業では8割超がフレックスタイム制を採用している一方、中小企業では3割程度にとどまっているのが実情です。労働生産性の向上や働き方改革を進めるうえで、企業の規模を問わず、フレックスタイム制の導入促進が求められています。
本記事では、フレックスタイム制導入のメリットと必要な手続きを解説するとともに、実際の導入プロセスにおけるポイントや注意事項をできるだけ具体的に提示します。

フレックスタイム制度とは

フレックスタイム制とは、核となる時間帯(コアタイム)を設けつつ、その前後の時間帯の出退勤時刻を社員の裁量によって決められる勤務制度です。労働時間管理は総労働時間で行い、1日や1週間の勤務時間をある程度調整できるのが特徴です。
コアタイムは通常、午前10時から午後3時頃の5時間程度が一般的です。コアタイム中は全社員が出勤することで、会議等の業務運営を効率的に進められます。その他の時間帯は、個人の事情に応じて柔軟に出勤時刻を設定できるなどのメリットがあります。
一方で注意点として、コアタイムが長いほど労働時間の裁量性は下がります。また、始業・終業時刻が社員によって異なるため、朝礼や終礼を実施しづらくなるといったデメリットもあります。
このほかに、裁量労働制もあります。業務遂行手段や時間配分を社員本人に任せる制度ですので、創造性や自律性を重視する職種に適しています。一方で、業務内容を明確に定めないと、サービス残業などの弊害がでやすいといった側面にも留意が必要です。

フレックスタイム制度を導入するメリット

企業にとって一番肝心なのが、制度導入のメリットです。働き方を変えたところで企業の業績につながるのか、疑問の方も多いと思われます。しかし、フレックス制度は企業の生産性向上も期待できる非常に有益な制度です。ここでは、フレックス制を導入するメリットを具体的に5つほど、説明します。

フレックスタイム制度を導入するメリット

社員のワークライフバランスが改善しやすくなる

子育て世代が朝晩に家事を行いやすくなったり、通勤ラッシュを避けることができます。「仕事に向かう」という時間のストレスや、家事との時間が被るなど、従業員にとってはストレスでしかありません。働く時間の自由化は従業員の心身の健康にもつながり、モチベーション維持に役立つでしょう。

通勤時間や残業時間の削減で生産性向上が期待できる

出勤時間の調整で、通勤ラッシュを避けられ、生産性の高い時間に働きたい人が活躍しやすくなる。また、朝方の人は朝早く、夜型の人は夜遅くに勤務時間を調整することができるため、それぞれが精力的に働くことができ、さらなる生産性向上が期待できます。

働き方の選択肢が増え、優秀な人材の確保に有利になる

オフィスからの距離や家族の状況、身体的な懸念など、個々の事情に配慮した働き方が可能なため、優秀な人材の確保に有利となります。実際に働き方の自由度の高い企業は求職者に人気です。

在宅勤務を活用すれば、オフィスコストも削減できる

テレワークと組み合わせることで、事務所スペースを削減できる可能性もあります。シェアオフィスやサテライトオフィスなどの活用によって、オフィスのコストを抑えることができます。

服装・頭髪の自由度向上

意外と従業員にとって重要な点ですが、朝の準備時間が省け、心理的な負担が軽減されることが挙げられます。

このように、業務効率化だけでなく、雇用環境の改善という点でも、大きなメリットが期待できます。企業の働き方改革にフレックスタイム制は欠かせません。

なぜフレックスタイム制度の導入は難しいのか?

以上のようにメリットの多い制度ではありますが、その一方で中小企業ではフレックス制度の導入率は低いままです。そこには隠された障壁や課題がいくつもあることがわかります。フレックス制を導入しづらい中小企業ならではの理由として、次の点が考えられます。

フレックス制度導入の障壁

導入コスト(システム改修、労務管理)への負担感

勤怠管理システムの改修や、労務管理業務が複雑化することへの負担感が障壁となる場合が多いでしょう。

社員数が少ないと勤務シフトが調整しづらい

社員が10人未満の小規模な場合、シフト調整が難しく、サービス提供に支障をきたす可能性が考えられます。

テレワーク環境の整備に課題がある

在宅勤務を活用するには、セキュリティ対策などのIT環境整備が必要で、コストが障壁となることが考えられます。

業務内容によっては裁量労働が難しい場合もある

製造業などの現場作業では、裁量労働制の適用は難しいケースも多いです。業種業態による適性の差があるのが実際のところでしょう。

従業員の意識改革に時間がかかる可能性

自律的な働き方を定着させるには、社員教育と意識改革が不可欠で、すぐには成果が出ない可能性があります。

このような課題はあるものの、メリットを上回る効果が期待できるケースも多いはずです。新たな制度を導入するのは何事も難しいですが、企業においてフレックス制の導入を検討する価値は十分あると言えるでしょう。

フレックスタイム制度導入の具体的な手順

これまでの話では制度導入のイメージが沸かないと思われます。以下では導入の具体的な手順例を提案します。何からどう準備するのか、その参考にしてみてください。

1. 労務管理担当者が中心となり、導入の目的とメリットをまとめる

導入目的(社員のワークライフバランス向上、残業時間削減等)と期待されるメリットを整理し、上長や社長の承認を必要とする場合は、資料の作成も行いましょう。

制度導入に際して、例えば以下のような目的が考えられます。

– 残業時間の削減、健康管理への配慮

– 通勤時間の削減による生産性向上

– 子育て世代の働きやすさ向上

– 優秀な人材の獲得・定着

また、経営陣と検討会を重ね、業種業態に応じた課題と解決策を模索していきます。メリットを最大化し、デメリットを最小化するように意識しましょう。

2. 仕事の内容と必要な労働時間から、適用可能な制度を選択する

例えば、裁量労働の導入を検討しているならばフレックスタイム制の導入から、というように、いきなり変えるのではなく現実的な変更点から実施していきましょう。また、フレックスタイム制は全社的に導入することもできますが、まずは試験的に一部の部署や労働者を対象に導入することをおすすめします。業務内容によっては裁量労働が難しい場合もあるため、導入しやすい部署から順次拡大していくことが望ましいでしょう。
また、今までの働き方との違いを社員に納得してもらうためにも、コアタイムは短めに設定し、社員の裁量範囲を大きくとることも検討してみます。

3. 導入に要するシステム改修や装備購入のコストを算出

フレックスタイム制を導入するにあたり、アナログの在席管理ではなく、ICカードやスマートフォンを用いたデジタルの勤怠管理システムを導入することが効率的です。クラウドサービスを利用すれば導入コストを抑えることもできます。また、テレワーク機器はリースすることも選択肢に入ってきます。どの企業と提携するかも準備段階でリサーチしておきましょう。

(1) 労使協定の締結 

フレックスタイム制の導入には、管理監督者を除く労働者の過半数代表との間で、労使協定を締結する必要があります。協定では以下の事項を定めてください。

– 対象労働者の範囲
– コアタイムの設定 (※) 
– フレキシブルタイムの設定 (※)
– 清算期間 (上限3か月)
– 清算期間における総労働時間
– 標準となる1日の労働時間
– 超過・不足時間の取扱い

※設定は任意ですが、設定する場合は時間帯を明確に定める必要があります。

(2) 就業規則の改定

就業規則の変更手続き(従業員への周知等)を経て、フレックスタイム制や労使協定に関する規定を盛り込みましょう。併せて賃金規定の改定も必要です。

(3) 労使協定の届出

清算期間が1か月を超える場合は、労使協定を所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。届出がない場合、有効な協定とはなりません。

4. 制度の円滑な運用

(1) 社内への周知徹底

フレックスタイム制を円滑に運用するには、社内の理解が必要不可欠です。労使協定の内容や実際の勤務体制を丁寧に説明し、社員教育を行ってください。とくに、コンプライアンスの重要性を強調することが大切です。 

(2) トライアル期間の設定

最初は試行期間を設け、効果や問題点を把握した上で、必要に応じて制度の修正を行うことを検討しましょう。新しい勤務体制の定着には時間がかかる場合もあるため、無理のないステップで進めることが重要です。

(3) 実績の評価と改善 

トライアル期間後は、労働時間のデータを分析し、残業時間の削減効果や生産性の向上など、導入効果を評価することが望まれます。併せて、改善点を洗い出し、次のステップにつなげることが大切です。

フレックスタイム制の導入には、多くの手続きが必要ですが、段取りを守れば円滑に運用することが可能です。積極的な働き方改革は、業績アップにもつながります。従業員の意識改革とともに、労務管理の改善に取り組みましょう。

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人手不足の原因と解決策|深刻な業界とその対策、企業への影響https://ori-plan.com/hr-lab/operation/shorthanded/Tue, 12 Dec 2023 02:08:30 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1371

人手不足の原因

時代の流れによる人手不足は各業界で発生しています。まずは、人手不足の原因についてご紹介します。

少子高齢化による労働人口の減少

少子高齢化が進んだ影響により、労働人口が減少しています。内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、日本国内の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少し、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。

生産年齢人口の減少に伴い、労働人口も減少するため、優秀な人材を確保するための争奪戦が企業間で行われおり、今後もしばらくこの状況は続いていくと予想されています。

働き方の多様化による影響

昨今、正社員以外の働き方が増加し、契約社員や派遣社員、パート・アルバイト、業務委託契約など、会社や従業員の都合に合わせ多様な働き方が選択できる時代になりました。

一方で、非正規の社員は責任あるポジションへ配置することが難しいため、結果的に会社への定着率が低くなる問題が生じています。非正規雇用の社員を増やすことは、短期的には有効だとしても、人材不足の根本的な解決にはつながらない場合が多いといえます。

転職市場の活性化

近年、一つの会社で定年まで働く、いわゆる「終身雇用」の概念が薄れており、よりよい給与や環境で働ける職場を求め、転職する人が増えています。スキルとキャリアを積み重ね、次々と会社を渡り歩いているケースも少なくありません。

労働環境の整備が進んでいなかったり、賃金の改善が難しかったりする企業にとっては、転職市場が活性化すると、労働力が流出し人材不足に陥りやすくなってしまいます。

企業と求職者のニーズのズレ

需要と供給のバランスがあっていないことも、人手不足の原因の一つといえます。実は、業種によって有効求人倍率には大きな差があります。

例えば、事務系職種は人材の余剰がある一方で、土木・建設系や運輸系、介護・福祉系職種は慢性的な人材不足となっています。人手不足になりやすい職種の特徴としては、「深夜勤務や長時間労働、土日出勤が多い」「体力勝負にも関わらず給与水準が低い」などの理由があげられ、全体として離職率が高い傾向にあります。

人手不足の5つの解決策

人手不足を解消するためには、応募者向けだけでなく、既存社員向けにも中長期的な計画を実施するとよいでしょう。ここからは、その解決策を紹介します。

アウトソーシングを活用する

アウトソーシングはいわゆる「外注」のことで、特定の業務やサービスを外部の業者に委託して、社内の業務を補完します。

人手不足解消のために社員を新たに登用すると、給与以外にも福利厚生費などのコストがかかります。また、万が一業績が悪化してもすぐに解雇することが難しく、業績悪化の原因になりかねません。

アウトソーシングを活用し、繁忙期など限られた期間のみの契約を行えば、柔軟に人員の調節がしやすく、結果として人件費効率を高められる場合あります。また、業務委託先の専門知識やノウハウを活用できるため、自社での教育を省略しながら、品質や生産性を向上できます。

採用ターゲットや働き方の幅を広げる

前述の通り、生産人口は減少傾向にありますが、一方で働きたい女性や65歳以上のシニアは多く存在すると言われています。そのため、今までターゲットにしていた「人材」や「働き方」について再考すると、人手不足を解消できる場合があります。

女性の場合、結婚や出産、配偶者の転勤などのライフイベントにより、今までと同じ働き方が難しくなってしまい、離職するケースが少なくありません。また、シニア層においては、卓越した技術やノウハウはあるものの、体力的にフルタイムの就業が難しい場合があります。

これらの人材を確保するときに検討したいのが、時短勤務やテレワークの導入など、ワークスタイルや制度を整えることです。就職希望者のニーズに合わせた柔軟な働き方を提供すれば、優秀な人材からの応募を期待できます。

ただし、急に制度変更すると既存社員が混乱してしまうおそれがあるため、段階的に整えていくことをおすすめします。会社の新しい社内文化として浸透させるためには、最終的なゴールを見据え、予算やスケジュール、人員体制などのロードマップを作成し、長期的なプロジェクトして進めていくのがよいでしょう。

労働条件や待遇を見直す

労働に対する給与が見合っていない仕事は、多くの人材から「割に合わない仕事」とみなされやすく、離職率も高い傾向があります。

社員にとって、「働く環境」は最も重視することの一つです。特に転職希望者は、企業の給与や福利厚生などについては入念にリサーチしていることが多いので、一般的な福利厚生は可能な限り設定しておきましょう。

また、福利厚生に対する社員の満足度が高いと、定着率のアップにもつながります。さらには、自社らしい制度を整備すると企業の独自性や魅力となり、応募者へのPRになる可能性もあります。

業務プロセスを改善する

特定の人に業務が集中する「業務過多」や、必要なスキルの習得やアップデートが求められる場面が多い業務は、個人への負担が大きく、離職につながる原因となります。各メンバーの業務量が適切なのかを把握し、業務プロセスに無駄がないか、見直しを行いましょう。

また、社員それぞれの業務を可視化し、社内で共有できることも重要です。昨今は、業務を効率化するデジタルツールやサービスなどが多数提供されており、活用する企業も増加しています。業務が効率化されると、コスト削減はもちろん、社員のモチベーションの向上につながるため、人材流失のリスクを下げることも期待できます。

人材育成を強化する

時代の流れに合わせて、求められるスキルや能力も変化していきます。特に、昨今の急速なデジタル化など、時代の大きな変化についていくことと、それらにかかわる人材の育成環境を強化していくことは非常に重要です。

特に既存社員のスキルアップは、各々の生産性を向上させるだけでなく、やりがいやモチベーションアップにもつながります。その中でも最近注目されているのが「リカレント教育」。学校教育を終えて就職した後も、教育機関や社会人向け講座などを利用し、周期的に教育を受けて学び直しすることを指します。過去にインプットした内容を業務に活かしつつ、新しく習得したノウハウも即現場でアウトプットし、活躍の場を増やすことを目指します。

人手不足が深刻な業界とその対策

各業界で人手不足が起こっています。なかでも人手不足が深刻な業界と、その解決策について紹介します。

建設業

建設業界は若い働き手が少なく、労働者の高齢化が進んでいます。原因は、前述した少子高齢化のほかに、「肉体労働」「きつい・汚い・危険」などのいわゆる3Kのイメージにより、業界を選択する人材自体が減少していることがあげられます。一般的に給与水準も低く、離職率も他業種平均よりも高めです。

建設業の人材不足解消のための方法として、以下のような対策があげられます。

  • デジタルツールによる業務効率化
  • 外国人など採用ターゲットの拡大
  • 労働環境や給与水準の見直し

運送業

近年、ECサイトの普及や世界的な社会情勢の影響により、オンラインショッピングの利用者が爆発的に増加しています。それに伴い市場の物量が増加し、出荷や配送にかかわる業務も増加。しかし、その運送に携わる人は足りておらず、慢性的に人手不足となっています。

人手不足の原因としては、建設業界同様、従業員の高齢化と体力勝負の業務内容に加えて、「トラックの運転手=長時間労働」のマイナスイメージがあることが考えられます。

運送業の人手不足解消の方法として、以下のような対策があげられます。

  • 業務の標準化
  • AIやデジタルツール、ロボットなどの活用による業務の省力化や効率化
  • 労働環境の改善

医療・福祉業

看護や介護などの医療・福祉系職種は、高齢化や社会情勢に伴い、近年需要が増えています。しかし、厳しい労働環境や夜勤やシフト勤務などの不規則な勤務体系などにより、離職率が高い傾向にあります。

人手不足が続くと、一人一人の業務量が増加するマイナスのループに入り、忙しさからポジティブさやモチベーションを保てなくなり、離職につながるケースが少なくありません。

医療・福祉業界の人手不足解消の方法としては、以下のような対策があげられます。

  • デジタルツールを用いた業務の効率化
  • 福利厚生の充実
  • キャリアや教育支援

人手不足を放置することで起こる影響

最後に慢性的な人手不足の状態が継続することで、考えられるリスクや影響についてご紹介します。

労働環境の悪化により離職率が高まる

人手不足は、一人一人の業務量や責任が増えて、負担がかかることが多いため、長時間労働やハラスメントが横行しやすくなります。社員同士の人間関係が悪化し、社員の労働意欲やモチベーションが低下する可能性があります。

昨今は、ワークライフバランスを重視して働いている人も少なくありません。自身の心身への影響を考え、最終的な結論として職場を離れる選択するケースも考えられるでしょう。

新規事業の着手が困難になる

新規事業を立ち上げるには、企画の立案から推進までを行う人材を確保する必要があります。しかし、人手不足になると人員が確保できず、新事業への挑戦や事業拡大が難しくなります。人材不足が深刻化すれば、新規事業どころか事業を縮小しなければならない可能性もあるでしょう。

採用コストがかかる

人手不足解消のために、継続的な採用活動を行ったり、頻繁に募集をかけたりすることになるため、広告料や人件費などの採用コストが発生します。長期化するとその分コストも高くなります。自社にマッチする人材を確保するとともに、定着率を高められるように対策していくことが必要です。

解決策を講じて人手不足を解消しよう

人手不足は、複合的な要因で発生し、放置すると労働環境が悪化するだけでなく、業績の悪化につながる可能性があります。短期的および長期的な対策を講じて、人手不足を解消していきましょう。

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賃上げの波に乗れない?中小企業経営者は何をするべきかhttps://ori-plan.com/hr-lab/operation/baseup2023/Fri, 01 Dec 2023 08:16:36 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1400

昨今、約30年間停滞していた従業員の給料の水準について大きな変化の兆しが訪れています。政府の賃上げ政策によって、今年(2023年)の賃上げ回答が例年を大きく上回るペースになっています。経団連によると、2023年5月19日 ... ]]>

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記事のサマリー(要約)
物価高によって従業員の賃金引き上げが多くの企業に浸透しており、そのトレンドは中小企業でも例外ではありません。しかし、一時的な賃上げは可能でも、中小企業の賃上げは長期間定着しにくいのが現状です。その原因は企業によって様々あり、しかも一企業が解決できる問題ではない場合もあります。しかし一企業でも努力次第で賃金引き上げ、それに伴う業績向上も見込めます。この記事では、中小企業と賃上げに関して様々な角度から考察、さらに賃上げ定着とそれに伴う業績向上のための二つの方法、①人事制度定着と②生産性、価格転嫁力の向上、についても解説します。

昨今、約30年間停滞していた従業員の給料の水準について大きな変化の兆しが訪れています。政府の賃上げ政策によって、今年(2023年)の賃上げ回答が例年を大きく上回るペースになっています。経団連によると、2023年5月19日時点で、定期昇給とベアを合わせた賃上げ率は3.91%と、前年の同じ時期より1.64ポイント上昇しました。この調査は、従業員500人以上の大企業の内、21業種241社を対象に集計した結果であり、一見中小企業には関係のない話に見えるかもしれません。しかし、日本商工会議所と東京商工会議所が実施した調査によると、2023年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業が58.2%、昨年同時期を12.4ポイントも上回る結果となりました。さらに財務省の調査によると、なんらかの賃上げを実施し、引き上げ率が3%以上の中堅・中小企業も5割近くに達しています。しかし同時に、パーソル総研の調査によると、小規模企業は賃上げに積極的でない傾向があることが分かっています。また、業績が好調な企業は「自社は賃上げに積極的」が52.7%であるのに対し、業績が不調な企業は15.9%にとどまっており、業績の良し悪しが賃上げへの態度に与える影響は大きいとされています。さらに、国は企業に賃上げを要請していますが、多くの企業経営層が「成長なくして賃上げは難しい」と考えているという結果が得られています。実態として企業の6割強が赤字という状況のなか、賃上げへの国の関与に否定的な経営層が3割近くに上ったという結果もあります。
このように、多くの中小企業経営層は賃上げ意識は高いものの、賃上げは業績の良し悪しに左右されることも多く、賃上げの実施、定着には課題が残ることがわかります。では、業績が安定しにくい中小企業において賃上げを実行し、さらに定着させるにはどのような工夫が必要なのでしょうか。

なぜ賃上げする必要あるのか

まず、なぜそもそも賃上げを行う必要があるのでしょう。政府の働きかけにより賃上げする企業が増えているのも事実です。しかし賃上げはそう簡単にできるものではありません。さらに、企業のお金の投資先は他にもたくさんあります。それでも日本の多くの企業が賃上げを実施しているのには理由があるのです。以下に一般的な賃上げのメリットを挙げます。

  1. 労働市場の競争力の確保: 賃金が適正で魅力的な水準に設定されている企業は、優秀な人材を引き付けることができます。競争力のある賃上げは、優れた人材を確保し、企業の成果や競争力を高めるために重要です。
  2. 従業員のモチベーションや満足度の向上: 適正な報酬や賃上げは、従業員のモチベーションや満足度を高めることにつながります。給与が公平で適切に評価されていると感じる従業員は、仕事に対する意欲や貢献度が向上し、組織全体のパフォーマンスにプラスの影響を与えます。
  3. 従業員の定着と離職率の低下: 適切な賃上げは従業員の定着を促し、離職率を低下させる効果があります。従業員は報酬の公正さや成長の機会に関心を持ち、経済的な安定感がある職場で働きたいと考えます。適正な賃上げは従業員の満足度や忠誠心を高め、離職を減らすことに繋がります。
  4. 労働環境の改善と労使関係の良好化: 賃上げは労働環境の改善や労使関係の良好化にも寄与します。従業員が公正な評価と報酬を受け取ることで、労働条件の改善やコミュニケーションの円滑化につながります。
  5. 生産性の向上: 適切な報酬や賃上げは従業員の生産性を高めることにつながります。給与や報酬が成果に見合っていると感じる従業員は、仕事により一層取り組み、生産性が向上します。
  6. 人材の育成と成長: 賃上げは従業員の成長を支援する役割も果たします。適切な報酬体系や賃上げ制度を導入することで、従業員はスキルや能力の向上に取り組む動機を持ちます。これにより、企業は内部から優秀な人材を育成し、将来のリーダーや専門家を確保することができます。
  7. 社会的責任の履行: 企業は社会的責任を果たす一環として、従業員に公正な報酬を提供することが求められます。適正な賃上げは、社会的な公平さや労働者の権利を尊重する姿勢を示す重要な手段となります。
  8. 法的要件の遵守: 各国には最低賃金や労働基準法などの法的要件があります。企業はこれらの要件を遵守し、最低限の報酬水準を保証する必要があります。

以上は、あくまでも一般的な賃上げのメリットであり、経営上のメリットにすぎません。

賃上げの必要性は他のところにあります。それは労働者の生活水準の維持です。

生活費や物価が上昇する現代社会において、賃金が上がらないままであれば、実質的な生活水準は低下してしまいます。賃上げは、物価上昇に対して生活費を賄うための必要な手段となります。生活水準を維持するためには、経済的な安定が必要です。十分な賃金を受け取ることで、生活の安定性が確保され、食料、住居、医療、教育などの基本的なニーズを満たすことができます。こうして適正な報酬を受け取ることで、労働者のモチベーションを高め、仕事に対する意欲やパフォーマンスを向上させます。それにより、生産性が向上し、企業の業績向上につながると言えます。

特に中小企業が賃上げを実施するメリットとしては以下のことが考えられます。

  1. 優秀な人材の確保と定着: 中小企業は大企業に比べて競争力やブランド力が劣る場合があります。しかし、賃金を上げることで優秀な人材を引きつけ、定着させることができます。良質な人材は企業の成長や競争力を高めるため、賃上げによる人材確保のメリットは大きいです。
  2. 生産性の向上: 賃金を上げることにより従業員のモチベーションや働きがいが向上します。生産性の向上は企業の業績や効率性を高めるため、コストカットにつながる可能性があります。従業員がやりがいを感じ、仕事に対して積極的に取り組むことで、生産性向上の効果が現れるでしょう。
  3. 顧客満足度とブランドイメージの向上: 中小企業が賃上げを実施し、従業員の働きがいや満足度を高めることで、顧客満足度の向上や良好なブランドイメージの構築につながることがあります。顧客は満足度の高いサービスを求め、ブランドに対する信頼性や魅力を重視します。
  4. 長期的な成長と持続可能性の確保: 中小企業が賃上げを通じて優秀な人材を確保し、生産性や顧客満足度の向上を図ることで、競争力を維持・強化し、長期的な成長と持続可能性を確保することができます。これにより、コストカットのデメリットよりも、賃金を上げることによるメリットが大きくなる可能性があります。

以上のように、企業自体のブランド力が乏しい以上、優秀な人材の確保や、それに伴う企業の生産性向上などを考えると、特に中小企業でも賃上げを行うメリットがあると言えるでしょう。

中小企業を取り巻く環境と賃上げの現状

人手不足について

東京商工会議所の2023年3月の調査によると、中小企業で「人手不足」と回答した企業は64.3%。なんと昨年同時期から3.6ポイント増加しているようです。 また、働く人にとって魅力ある企業・職場となるために実施・検討している取組は、「賃上げの実施、募集賃金の引上げ」(66.3%)が最多、とのことです。つまり人で不足を感じる中小企業は多く、人材の確保のためにも賃金の引き上げを検討している企業も6割以上おり、賃上げの必要性に迫られる状況になっていると言えるでしょう。

止むを得ない理由で賃上げする企業も

同調査によると、「賃上げを実施予定」と回答した企業は6割近く(58.2%、昨年+12.4ポイント)います。そのうち業績改善を伴わない「防衛的な賃上げ」は6割強とのことです。防衛的な賃上げとは、企業の存続のために止むを得ず賃上げを行っているということです。 つまりほとんどの中小企業では、賃上げが継続的に定着するとは言い難いのが現状なのです。

賃上げをしない理由は?

財務省の2023年の調査では、34社が賃金引上げを実施しない理由を回答しています。回答された理由は以下の通りです。

1.「業績の低迷(見通し含む)」34社中最も多く、原材料価格高騰などから業績が下がっていたためや、電気料金上昇に伴う大幅赤字のためなどが挙げられています。

2.「借入金の返済を優先」23社が回答し、利益をまずコロナ禍での借入金の返済に充てるためなどが挙げられています。

3.「景気回復の見通しが立っていない」14社が回答し、景気回復の見通しが立っていないため、将来的な業績不安があるためなどが挙げられています。

4.「人手不足が解消されていない」9社が回答し、人手不足が解消されていないため、賃金引上げによる採用・定着効果が見込めないためなどが挙げられています。

5.「その他」7社が回答し、その他の理由として、コロナ禍による業績不安や、事業の縮小・再編成などが挙げられています。

なぜ中小企業で人事制度、賃上げの定着が難しいのか

労働力に限りがある中小企業において、賃上げの定着は簡単なことではありません。賃金をあげるためには、そもそも賃金引き上げ以前に、人事制度が適切に運用されていないケースも多いです。複雑化する人材市場において適切な人事制度の構築は緊急必須の課題と考える経営者も多いのではないのでしょうか。そのため、経営者は、より高度な企業のマネジメント力が求められることになります。そこで、なぜ中小企業では賃金の引き上げが難しいのかの根本原因を理解し、企業全体のマネジメントの参考にしてみましょう。

企業の成長度合いとのミスマッチ

企業は、売り上げや規模の成長の度合いに応じて取り組むべき課題に対する方向性も変化します。人事制度についてもその時の状況に応じて適切な見直しが求められます。しかし、中小企業では成長度合いに応じた人事制度を構築するノウハウに乏しいため、社員数の増加に伴って大手企業の人事制度を模倣しようとしてしまいます。例えば最近注目されるジョブ型雇用は、成功している企業もあれば失敗例もあり、企業の業種、扱う製品、人材の特徴など多くの要因の検討が必要です。そのため、他の企業の方法で模倣して制度を構築しても、効果的に機能することはあまりないでしょう。特に評価制度においてこの傾向があるのは、大手企業のやり方を真似ればうまくいくだろう、という思い込みがあるためだと考えられますが、実際はそうではありません。重要なのは、企業の成長の規模、業種など、企業の特徴にに応じた評価制度の設計と運用です。

役職と等級の区別がされていない

近年大企業ではジョブ型雇用の推進が加速していますが、中小企業の多くではまだ職能資格制度が一般的です。そのため職務内容、つまり仕事の内容ではなく、経験年数が加味された伝統的な年功序列制度が多いのです。さらに多くの中小企業では、役職と等級が一対一に対応し(役職=等級)、役職を等級の呼称として使用していることが多いですが、これでは仮に等級制度が存在しても、全くないのと同じです。このようにヒエラルキーがなく、職位呼称(課長、部長など)のみの企業における最大の問題は、社員の成長意欲や向上心が萎縮してしまうことです。会社には限られたポストしかないため、上に課長や部長がいると、「その人がいなくならないと自分はポジションをもらえない」と感じ、昇格できない、給料も減らされる、といったネガティブな感情が生まれやすいです。これでは人材の活力を最大限に引き出すことはできません。
たとえ役職に就かなくても、階級別に自分の進歩や成長を実感させることができれば、キャリア開発を促すことにもなります。組織運営では、「役職」は従業員数や組織構造によって異なり、「ランク」は能力レベルや職務の大きさを規定するものであるため、両者を分けて共存させることが人事制度を考える上での肝になります。

成功例

中小企業では様々な理由で新しい賃金制度の定着が難しいことがわかりました。しかし、そのような問題を解決し、新たな賃金制度を導入し業績も向上した中小企業も多く存在します。ここではその一部を紹介します。

イーストライズ株式会社

イーストライズ株式会社は、地方勤務を実現するためにサテライトを活用しており、設立から10期連続で黒字を達成し、昇給や賞与支給を10期連続で実施しています。また、物価高を受けて、来期は5%のベアを実施する予定です。さらに、若い人に高い給与を支払うことを目指しており、現在は1,000万円プレーヤーも在籍しています。イーストライズの取り組みは、地方の賃金水準の向上に貢献しており、首都圏よりも高い給与を支払っているという声も聞かれています。
このような高い水準の賃上げに成功した理由は、テレワークの拡充によって、地方勤務をしながらも単価の高い東京の案件を獲得できる、という点が挙げられます。こうした業務のデジタル化を押し進め、場所に囚われない企業形態が高い給与水準につながっています。

トップ精工株式会社

トップ精工株式会社は、創業以来、社員や家族の幸せを望み、賃上げを実施してきました。しかし、リーマンショック時の業績悪化により売上が9割減少し、毎月2000万円の大幅赤字を計上。会社の存続のために、社員の給与を2〜3割カットする苦渋の決断を行い、倒産の危機を脱したとのことです。その後、徐々に業績が回復し始めた中で、自己資本が不十分な状態であっても、利益が出た時は積極的に社員に還元するために、赤字になると支給を停止する「停止条件付き手当」の仕組みを導入しています。また、全社員に住宅手当と家族手当を支給しており、これまで支給を停止したことはないとのことです。

田中精密工業株式会社

田中精密工業株式会社は、富山県富山市に本社を置く企業で、自動車部品等の製造を行っています。田中精密工業は、1948年に創業され、本田技研工業の関連会社として活動しています。高度な技術を持ち、F1マシン向け部品の加工やH3ロケットの部品加工なども手掛けています。
田中精密工業は、従来の年齢に応じて賃金が上がる仕組みでは、仕事に変化がないにもかかわらず人件費だけが上昇するという問題を解決するために、役割等級制度を導入しています。この制度では、社員を6段階の等級に分類し、若くても実力があれば飛び級し、勤続年数が長くても役割を果たせなければ等級を下げる、といったことを行います。等級内での定期昇給も行われ、欧米のジョブ型制度と日本の制度の良いところをミックスさせていると言えます。

新しい給与体系が制度として定着するには?

そもそもの賃金制度の方針を決める

賃金を上げるためには、そのための賃金制度を新しくする必要があります。しかし多くの中小企業では、自社に合った制度を導入できていません。その一因として、自社の状況を明確に分析できていないということも考えられます。自社に適合した賃金制度の方針を固める手順を、HRマガジンの『人事の地図』を基に解説していきます。

何のための賃金制度なのかを考える

そもそも、なぜ賃金制度を変える必要があるのかをもう一度考え直しましょう。会社として、何を実現するために新たな制度を導入する必要があるのかを決めます。そのためには、会社理念や経営方針を整理した上で、制度改正の必要性を明確にしましょう。具体的には、まず自社が今の段階で何を目指し、何のために評価制度を構築するのか?という目的について、社内でコンセンサスを得られている状態をつくります。その上で、社員の能力開発、業績向上という観点で、企業ならではの組織風土や価値観を考慮しながら設計していくのがポイントです。このときに、優秀な社員と一般社員の差をつけるのが目的ではないことに留意しましょう。あくまで、会社のために社員全体がレベルアップすることが重要なのです。

社員の意向確認

人事制度に関して社員の不満がないかの意向を調査します。社員自身が実は現行の人事制度に不満を持っている可能性もあります。例えば、管理職になると裁量労働制になり残業代が出ないため昇進したくない、頑張っている若手より何もしていない中堅社員の方が給料が高いのはおかしい、など、実は細かなポイントに社員は不満を抱えていることもしばしばあります。そのために、人事担当は定期面談やコミュニケーションをとることで現状を把握する必要があります。他にも、全社的なアンケートも効果的でしょう。

賃金分析によって、どのように賃金が支給されるのか把握する

在籍中の社員の年間の賃金や賞与のデータを基に、縦軸を賃金、横軸を役職、職種、年齢、勤続年数といったような属性で散布図を作ることで、現状の会社で賃金がどのように支給されているのかを把握することができます。
こうして図にして分析することで、「勤続年数が浅い方が昇給が緩やかなので若い人材の流出があるのでは」や、「勤続年数が長い人が以上に高い給与をもらい社内の不満の原因になっているのでは」など、自社の状況を考察することができます。

散布図のイメージ

価格転嫁力+生産性の向上

賃上げによるコスト増加は中小企業にとっては非常に大きな痛手となります。コストが膨らんでしまっては、賃上げによる従業員定着→生産性向上→業績UPのサイクルが出来上がる前に会社の体力が持ちません。実際、コストが増加した分価格を引き上げる力である価格転嫁力は、中小企業は非常に弱いとされています。つまり、中小企業は簡単に製品の価格を変えることができないのです。それには、取引先との関係性や市場支配力の差など、中小企業である以上しかたのない部分もあります。しかし東京商工リサーチの調査によると、価格転嫁が進んだ企業ほど賃上げ率も高いことがわかります。もちろん実際は十分に価格転嫁ができている企業は調査した企業全体の4.3%しか存在しません。経営資源の小さい中小企業ほど生産性の向上が求められるにもかかわらず、そのような企業ほど価格転嫁力がないという致命的なジレンマを抱えています。
価格転嫁力を上げるためには生産性の向上が不可欠です。この点に関しては会社の規模に関係なく、企業の努力次第で実現できる可能性があります。

ではここで生産性とは何なのか、について改めて確認しましょう。

企業活動における生産性は、経済用語で使用される概念であり、経済的なリソースを効率的に活用して生産活動を行う能力や効率の度合いを指します。具体的には、ある一定の生産要素(労働力、資本、技術など)を使用して生み出される生産物(商品やサービス)の量を測る指標として捉えられます。
労働者のスキルや能力、労働時間の適切な配分、労働環境の改善などが生産性に影響を与えます。他にも、生産に必要な設備や機械、技術的なノウハウなどの資本投資の適切な配置と管理体制も生産性に関わるものになります。これら生産プロセスを総じて、どれほど効率化されているか、人材が適切に配置されているか、ということが生産性を左右する要素になります。

要するにどれだけ効率的に製品やサービスを生産できるか、ということになります。これは言い換えると、無駄な業務がないかどうか、ということです。自分の会社の生産プロセスを細かいところまで振り返ってみて、全く無駄のない業務があると言い切れるでしょうか。たとえば大量のコピー料金、接待や会食にかかる経費、次のアクションを明確化できない意味のない会議、など、こうした業務と呼べない業務のためにコストがかかってしまうようでは経営の合理化、効率化はいつまで経っても訪れません。現場レベルでは生産に無意味な業務が蔓延っているかもしれないので、なるべく客観的に企業の状況を観察してみましょう。

では、中小企業の生産性の向上はどのようにしてなされるのでしょうか。生産性向上には二つ要素があり、一つ目に挙げられるのは①中小企業の新陳代謝の活性化です。これはどういうことかというと、日本では生産性の低い中小企業も、政府の中小企業向けの経営支援策に依存することで存続しているケースがあり、経済の全体の生産性を下げている可能性があるのです。これについては、コロナ危機対応として導入された融資の返済開始期間が2023年夏〜2024年にかけて訪れる見通しであり、生産性の低い企業の倒産件数が増加すると指摘されています。一見不穏な雰囲気ですが、これは好機です。なぜなら、生産性の高い中小企業へ経営資源が集中し、人材の能力育成や雇用の流動性も高まることが予想されるからです。これに関しては企業自体の努力というよりは企業を取り巻く環境によって結果的に生産性の高い企業が生き残る、ということですので、次が重要です。
それは②設備投資、人的資本への投資の強化です。東京商工リサーチが公表した2022年のアンケートでは、中小企業の4割超えがデジタル化に「取り組んでいない」もしくはデジタル化の第一段階(紙のペーパーレス化など、比較的簡単に行えるデジタル化)に止まっているというのが現状です。つまり、DX化が叫ばれる現代社会においても、業務プロセスの見直しを行う「デジタライゼーション」、デジタル技術で新しいビジネスモデルを実現する「デジタル・トランスフォーメーション」に着手できていない企業が半数近く存在するのです。もしご自身の会社もこのような現状であるならば、デジタル化、デジタル人材の育成確保は急務の取り組みであると言えます。自社のビジョンとして今後どの業務、どの領域をデジタル化していくべきなのか、経営戦略までしっかり遡り、本格的に対応して行かなくてはなりません。そして、業務のデジタル化に投資するためには会社のリソースを無意味に削く業務を見直す必要があります。現場レベルからの業務の見直しこそが、生産性UP→賃金引き上げ→生産性UP…のサイクルを生むのです。



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「リスキリング」する必要ある?なぜ学び直しが求められるのか、その理由を解説https://ori-plan.com/hr-lab/operation/reskilling/Tue, 14 Nov 2023 00:21:12 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1361

リスキリングとは、現代の技術やビジネスの発展に合わせた新しいスキルを習得することを指します。従業員や個人が、既存のスキルをアップデートし、新しい技術や業務に適応することで、市場価値を高め、キャリアアップにつながるとされて ... ]]>

リスキリングとは、現代の技術やビジネスの発展に合わせた新しいスキルを習得することを指します。従業員や個人が、既存のスキルをアップデートし、新しい技術や業務に適応することで、市場価値を高め、キャリアアップにつながるとされています。具体的な例としては、AIやデータの解析、プログラミング、デジタルマーケティングなどが挙げられます。VUCAの時代と言われる現代は、必要とされるスキルが流動的です。一つの会社の中で勤め上げる年功序列型の雇用形態ではなく、ジョブ型の雇用形態を採用する企業も増えています。さらにデジタル化やAI(人工知能)の進展により、ビジネス環境は大きく変化しています。従業員は新たな技術やツールを習得し、デジタルトランスフォーメーションに適応する必要があります。また、競争激化や消費者行動の変化により、企業は迅速な対応能力も求められています。従業員は業界の最新動向や市場のニーズに敏感であり、新たなスキルや知識を持つことが求められます。人材確保の難しさ: 需要の高まりや人口の減少により、優秀な人材の確保が難しくなっています。リスキリングによって既存の従業員のポテンシャルを引き出し、人材の有効活用を図ることが重要です。

今までの人材育成と何が違うのか

リスキリングと人材育成は関連性がありますが、それぞれ異なるアプローチや焦点を持っています。

リスキリングは、既存の従業員に対して新たなスキルや知識を教育し、現在の業務に必要な能力を向上させることを目的としています。リスキリングは、技術の進歩や業界の変化に応じて従業員が適切に対応できるようにするために行われます。具体的なトレーニングや教育プログラムを通じて、従業員のスキルセットをアップデートし、組織のニーズに合致した能力を身につけることを目指します。

一方、人材育成は、従業員の全体的な成長やキャリアの発展に焦点を当てています。これには、将来のリーダーシップポジションへの昇進や組織内でのスキルセットの拡大などが含まれます。人材育成は、個々の従業員の能力やパフォーマンスを発展させ、将来の役割や責任に備えるために行われます。組織は、トレーニング、メンタリング、キャリア開発プログラムなどを通じて従業員の成長を促進し、将来のリーダーシップや専門職の役割において活躍できる人材を育成します。

つまり、リスキリングは現在の業務に焦点を当てたスキルの向上を目指し、人材育成は将来の役割やキャリアの発展に向けた総合的な成長を目指す点で異なります。ただし、両方の取り組みは組織の成果や従業員の満足度を向上させるために重要であり、組織の戦略的な人材マネジメントの一環として組み合わせて活用されることがあります。

有名企業のリスキリング事例

NTTドコモ

NTTドコモは社内副業制度を導入しており、従業員が本業の業務に支障をきたさない範囲で副業を行うことができます。本業と副業を8:2の割合で兼務することが可能で、社員が活用しているようです。

  1. 副業の種類: NTTドコモの社内副業制度では、従業員が外部の企業や個人との契約に基づいて副業を行うことができます。具体的な副業の種類は、個人事業やコンサルティング、講師活動、執筆活動など多岐にわたります。
  2. 副業の条件: 社内副業制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
    • 本業の業務に支障をきたさないこと
    • 副業によってNTTドコモの信用やイメージが損なわれないこと
    • 副業にかかる時間や労力が適切であること
  3. 承認プロセス: 副業を希望する従業員は、所属する部署や人事部との相談を通じて副業の申請を行います。申請内容や副業の内容、業務への影響などを評価し、承認が下りた場合に副業を開始することができます。

制度の利点: 社内副業制度の導入には従業員のスキルやキャリアの多様化を促進することができるという利点があります。一つの業務の経験だけでなく、複数の業務を兼任することで相乗効果を期待することができます。また、副業による収入の増加や個人の成長に対するサポートが可能だったり、外部のネットワークや知識の導入による新たなアイデアやビジネスチャンスの創出が期待できます。

博報堂

博報堂は社内研修プログラムとして「博報堂大学(HAKUHODO Univ.)」を展開しています。

  1. 目的と内容: 博報堂大学は、従業員のスキルアップや知識の拡充を目的とした社内研修プログラムです。さまざまなテーマに関する講義やワークショップが提供され、広告業界やマーケティングに関する知識やスキルの向上を支援します。
  2. 参加資格と申請: 博報堂大学は博報堂グループの従業員を対象としています。参加資格や申請方法は博報堂の内部ルールによって定められており、所属部署や役職によって異なる場合があります。
  3. プログラムの種類: 博報堂大学ではさまざまなプログラムが提供されています。例えば、広告やマーケティングの基礎知識を学ぶコース、コミュニケーションスキルやリーダーシップ開発のためのトレーニング、業界の最新トピックに関するセミナーなどがあります。
  4. 講師と教材: 博報堂大学の講師は、博報堂グループ内のエキスパートや外部の専門家から選ばれます。また、実践的な教材やケーススタディを使用して、参加者が現実の業務に直結する知識やスキルを身につけることができます。

ソニー

ソニーのフレキシブルキャリア休職制度は、従業員が一定期間の休職を取得し、その後復職する際に柔軟なキャリアパスを選択することができる制度です。

  1. 休職期間と条件: フレキシブルキャリア休職は最大5年間まで取得が可能であり、個人の状況や希望に応じて休職期間を設定することができます。ただし、一定の条件や手続きがあります。
  2. 復職後のキャリア選択: 休職期間終了後、従業員は希望するキャリアパスを選択することができます。選択肢には、同じ部門・職務の復帰、異なる部門・職務への異動、社内研修・教育プログラムの受講、外部での学習やキャリアチェンジなどが含まれます。
  3. 復職後の支援措置: ソニーは復職後の従業員をサポートするため、各種研修やキャリアカウンセリングの機会を提供しています。また、復職前のトレーニングや情報提供も行われ、スムーズな職務復帰を支援します。
  4. ワークライフバランスの促進: フレキシブルキャリア休職制度は、従業員が家庭や個人の事情に対応するための柔軟な働き方を実現することを目的としています。休職期間を活用し、家族の世話や個人的な成長に時間を費やすことができます。

このフレキシブルキャリア休職制度は、従業員のキャリア開発やワークライフバランスの実現を支援するための取り組みです。従業員にとって、自己成長や働き方の選択肢を提供することで、モチベーションやエンゲージメントの向上につながると考えられています。

 リスキリング制度導入への課題

以上のように、リスキリング制度には様々なメリットがありますが、その制度の導入は簡単ではありません。 以下に、考えられる課題点を挙げます。

予算とリソース

リスキリング制度は、従業員のスキル向上や教育プログラムの提供にコストとリソースが必要です。予算の確保や教育担当の人材や施設の確保が課題となる場合があります。

プログラムの設計とカスタマイズ

リスキリングプログラムは、組織のニーズや従業員のスキルギャップに合わせて設計する必要があります。プログラムの内容やフォーマット、実施方法の選定において、適切なカスタマイズが課題となる場合があります。

従業員の意識と参加促進

リスキリングに参加する従業員の意識と参加意欲を高めることも課題です。従業員に対する認識向上や参加のメリットを明確に伝えること、参加を奨励する仕組みや報酬制度を整えることが求められます。

プログラムの評価と成果の可視化

リスキリングプログラムの成果を評価し、その効果や効果を可視化することも重要です。プログラムの評価方法や成果の測定指標を確立し、組織や従業員の成果につなげることが課題となる場合があります。

組織文化と変革の促進

リスキリング制度の導入は組織文化や従業員のマインドセットの変革を必要とする場合があります。組織全体の意識や価値観の変革、学習を推進する環境づくりが求められます。

これらの課題に対処するためには、組織のリーダーシップやトップダウンのサポート、適切な計画と戦略、従業員へのコミュニケーションや参加意欲の喚起、評価とフィードバックの仕組みの確立などが重要です。
多くの企業では、こうした制度をいきなり導入するのは難しいと思います。しかし、事業戦略のために必要な人材を明確に定義することで、現状の会社に必要なスキルを洗い出しましょう。その上で、リスキリングの重要性と緊急性を社員に発信することで、社員にとっても明確な目標ができます。

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24卒の取扱説明書~「普通」を知らない新入社員とどう接するべきかhttps://ori-plan.com/hr-lab/operation/24%e5%8d%92%e3%81%ae%e5%8f%96%e6%89%b1%e8%aa%ac%e6%98%8e%e6%9b%b8%e3%80%8c%e6%99%ae%e9%80%9a%e3%80%8d%e3%82%92%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%aa%e3%81%84%e6%96%b0%e5%85%a5%e7%a4%be%e5%93%a1%e3%81%a8/Tue, 07 Nov 2023 00:20:05 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1302

2020年の新型コロナウィルス感染症対策によって日本中に広まったリモートワークによって多様な働き方が浸透しています。そんな中、最近リモートワークから徐々に出社形式に戻す企業も増えてきているようです。実際にパーソル総合研究 ... ]]>

2020年の新型コロナウィルス感染症対策によって日本中に広まったリモートワークによって多様な働き方が浸透しています。そんな中、最近リモートワークから徐々に出社形式に戻す企業も増えてきているようです。実際にパーソル総合研究所の調査*では、2020年4月時点でのリモートワーク命令・推奨を行う企業(正社員ベース)が40%だったのに対し、2022年7月では33%にまで減少しています。しかし同じくパーソル総合研究所の調べでは、リモートワーク実施者の約80%がリモートワーク継続意向と、過去最高の数字になっています。このように、テレワークに関して、企業の方針と働く個人の意向の間にギャップが生まれつつあるのが実情です。しかも、リモートワーク実施企業の中でも、リモート普及にあたって行われた施策として「遠隔会議システム」や「チャットツールの導入」が多く挙げられていますが、それ以外に行われた施策の割合が小さいのが現状です。つまり、多くの企業がツールの導入のみに止まってしまっているのです。そのままでは新入社員は職場に適応できるのでしょうか。
特に2024年度に大卒で入社してくる現在学生の人たちは他の学年と違うところがあります。それは、「コロナ直撃世代」というところです。今となってはパンデミックも落ち着き、かつての混乱は忘れ去られた頃合いかと思いますが、世間が最も混乱していたタイミングに大学生活をスタートさせた世代が4年の時を経て社会人となるわけです。そのため、オンライン授業にオンライン新歓、オンライン面接などなど、オンライン上での活動が主でした。多様な働き方がある現在、企業は従業員だけでなくこれから入社してくる人材の理解にも努めるべきでしょう。24卒たちは多様化する働き方に対してどのように思っているのか、その実情をいまのうちに把握しておくことで、来年以降の会社の働き方戦略の参考になることでしょう。

*パーソル総合研究所「第七回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する調査」

24卒はどう学生生活を過ごしたのか

実際にヒアリング

今回は担当者が都内の私立大に通う24卒学生にインタビューしてみました。彼らはオンラインツールとどのように付き合ってきたのか、その実態を見てみましょう。

人事
人事

こんにちは、本日はインタビューにお越しいただきありがとうございます。佐藤さんは2020年に大学に入学された、所謂「24卒」の学生だと思うのですが、他の代と違って特筆すべきことがあるんですよね?

24卒
24卒

はい、我々の世代は大学入学時点からオンライン授業を経験しています。なので、我々にとっての「普通」がオンラインなのです。確かに、大学4年生にもなると対面での授業や活動が増えていますが、大学四年間で大半の活動をオンライン上で行っていました。

24卒学生は、23卒、22卒以上にオンライン環境での生活が染み付いており、大学に「通う」という概念があまり浸透していない傾向があるようです。では、彼らが社会人として入社したときに企業が意識するべきことはなんなのでしょうか。リモートワークやフレックス制度など、自由度の高い働き方が浸透しながらも、対面出社の形式を復活させる企業も増加傾向にあるいま、新卒にとってどちらの働き方が適切で、どのような教育を行うことが効果的なのか、実際の学生のインタビューを交えてご紹介します

人事
人事

ありがとうございます。我々としても、時代の流れに合わせてリモートワークを導入していているのですが、新卒社員のリモート環境でのモチベーション維持や育成方法には難があります。直接フォローをしにくい環境であるのも難しいポイントなのですが、学生はどのようにしてオンライン授業を継続して受けていたのですか?

24卒
24卒

我々は入学時点からオンライン授業がスタンダードでした。それに加えて、サークル活動や課外活動もなくなり、家で授業動画を見る以外にすることがなかった、というのが正直なところです。さらに、大学生はある程度「サボり」を覚えながらその他の活動と合わせて要領良く授業を受けていく能力がだんだん身についてくると思いますが、我々はそのような機会がありませんでした。なぜなら、「出席する」という行為に代わって大量の課題が課せられたからです。これは一年生の時の話ですが、大学一年生は一般的には時間割がかなり詰まっています。そのため、日によっては1日中パソコンの前に座って授業を受けるという日もありました。そのモチベは、先ほど説明したように「することがほかになかった」というのも大きいですが、もう一つ挙げるとすると、大学の授業、そしてオンライン授業という新たな経験が新鮮であったために意欲が継続していたと思います。加えて、学校に通う必要がなくなったため、授業を受ける際の障壁が低くなっているというのもあります。

このように、オンライン環境下でも学習意欲を維持できた理由に、授業を対面の時よりも受けやすいということも挙げられますが、他にも大学の授業とオンライン上で授業を行うこと自体が新鮮であることも重要な要素となるようです。

24卒
24卒

実際、前期の授業はオンライン上で授業を行っていましたが、全く苦痛ではありませんでした。新たな生活、新しく買ったパソコンで、新たな授業を受けるという体験それ自体が新鮮で、家にいながらも意欲的に学習的に取り組めたと思います。

しかし、この意欲が下がる時期があるのも事実です。私の場合、後期(夏休みが明けて10月ごろ)以降の授業ではオンライン上の授業に意欲を保つのが難しい状況でした。

人事
人事

なるほど、どういった原因でオンライン環境での意欲が下がってしまったのでしょうか

24卒
24卒

はい、それはオンライン環境は「真面目に取り組まなくてもなんとかなる」環境でもあったからです。例えば、授業動画の視聴履歴によって出席を確認している授業もありましたが、周りの話を聞くと、動画を流しながら他のことをしている人も少なくありませんでした。これは、実際に視聴しているかを確認する術がないため仕方のないことではありますが、オンラインの環境が従来の環境に比べて楽をできてしまう環境であるのは事実ですし、実際に私もそれを感じました。

人事
人事

詳しく教えてくれてありがとうございます。そのご経験からお伺いしたいのですが、なんの工夫もなくリモート勤務を行う場合、モチベーションはどのくらいの期間保たれると思いますか?

24卒
24卒

おそらく、3ヶ月から半年が限度だと思います。ただし、仕事内容が好きな人はこの限りではありませんが、心の底から仕事が好きな人の方が珍しいのではないでしょうか。最初は新たな仕事を覚えるフェーズがあり、そこは新鮮な気持ちで臨めるでしょう。しかし、その後は仕事内容によっては意欲を失いかねないかもしれません。

人事
人事

なるほど。たしかに、新入社員がいきなりリモート環境になった場合、最初の意欲を継続させるのは難しそうですよね

24卒
24卒

はい。コロナ禍で明らかになったのは、対面を好む派とリモートを好む派が明確に分かれていることです。

もちろん、テレワークでも継続的に、意欲的に働ける人は少数派でしょう。なんらかのモチベーション、もしくはプレッシャーがなければ自分を律することが求められるテレワークは逆にストレスに感じる場合もあります。しかし、オンラインの環境であるからこそ仕事のパフォーマンスが上がる人もいます。

人事
人事

オンライン環境は人のやる気を左右する環境であるということですね。便利な働き方で多様なニーズに対応できる反面、従業員のモチベーションを管理するという面では厳しいものがありますね。他にオンライン環境に慣れているからこそ留意しておくべき点などはありますか。

24卒
24卒

そうですね。我々は基本的に家にいることが多いので、対面での立ち振る舞いを理解していないことがあります、、、。いままでは二次元でのコミュニケーションが多かったので、三次元の空間で前にも横にも後ろにも人がいる環境に少しびっくりする人もいるかもしれません。いわゆる、「コミュニケーション」に関して、新入社員と元からいる社員の間でギャップを感じる可能性があります。あとは、いままでは人の名前がオンラインツールに表示されていたので、人の名前を意識的に覚えようという習慣があまりありません。突然対面する先輩社員が増えていくと、最初は名前を覚えるのに戸惑う場面があると思います。

人事
人事

そういうことがあるのですね。確かにオンラインツールでは名前が常に表示されている状態でしたね。やはり学生さんの目線でないと気づかないことが多く、参考になりますね。

24卒
24卒

そうだと思います。いまでは家のパソコンの前で1日中作業するのが習慣となってるので、朝から晩まで、毎日オフィスベースでの作業を苦痛に感じる人も増えています。根性なしと思われたらそれまでですが、大学四年間をオンライン環境で過ごしてきた学生たちのことを考えると、自然なことです。我々の世代では対面のインターンは人気が高い反面、長期間のインターンとなるとやはりオンラインの方が支持を集めるようです。実際に2週間のインターンに参加した友人も、最初の数日は対面での業務に新鮮さと楽しさを感じていましたが、やはり毎日通勤するというのはかなりの体力を使うようです。私も今までの生活に慣れてしまったため、突然オフィスベースでの働き方になった場合はかなり慣れるのに時間がかかると思います。

以上が、24卒学生の実態です。リモートの働き方が浸透している昨今では、「今」会社にいる従業員が満足できる働き方かどうかという視点を持ってしまいがちですが、それだけでなく、企業にとっての宝である新入社員が働きやすい環境であるかも同じくらい重要なのではないでしょうか。彼らの生活はコロナを期に変化し、会社勤めの長い我々ではなかなか気がつかない部分もあります。我々が経験したような授業も交流も課外活動もありません。そんな環境で形成される価値観や仕事に対する考え方にはどのようなものがあるのでしょうか。今の学生たちが社会人になったとき、彼らを受け入れる会社側としても把握するべき事項を改めてまとめてみます。

リモートスタンダードな24卒の特徴

一つ目に、あくまで生活のスタンダードは「リモート」である、ということです。つまり、「仕事として」ではなく生活習慣としてリモートで様々な活動を行ってきたのです。ここに学生時代コロナを経験していない会社の従業員側との意識の違いがあるかもしれません。学生は対面の必要性がない用件は基本的にオンライン上で済ませることが一般的な認識になっています。仕事上の例を挙げると、会議や面談、業務の進捗報告などは対面で実施しなければならない、という必要性はありません。コロナ禍の学生は学業においても、課外活動においても、オンラインツールを用いるのが一般的でした。そのため、会議や面談はなるべく対面で行いたいという方針の会社とは意識の齟齬が生じるかもしれません。

二つ目は、リモートでの作業には意欲維持が困難という問題点があるという点です。学生たちは普段からオンライン環境で様々なことを行ってきましたが、意欲の維持はやはり難しいことも窺えます。そんな中で学生がリモート授業を継続できた理由は大きく2点、「新鮮さ」と「プレッシャー」があるのだと考えられます。24卒学生も高校生までは学校に通って対面で授業を受けていたことでしょう。そこから大学入学というイベントとリモート授業という非日常体験を同時に経験したことで、最初の数ヶ月は意外と苦に感じている人はいなかったのではないでしょうか。これが「新鮮さ」です。もう一つの「プレッシャー」とは、大学でいえば単位、仕事でいえばノルマや締め切りなどです。このように必ず守らなければならない何かがあると、人は圧力を感じ、その圧力を解消したいがために行動を起こします。さらにはオフィスでは必ず発生する仕事仲間からの視線も圧力に入るでしょう。人から見られているという意識は少なからず作業の意欲につながります。学生たちは普段からオンライン上で課題や提出物、その他活動を進めているため、ある意味、このような対面の環境でのプレッシャーがなくても自律的にオンライン上で作業を進めることができるかもしれません。しかし、リモートでも自己管理ができる人やリモートでは無意識にだらけてしまう人など、タイプは様々です。さらに言うと、学生時代のリモート授業はうまくできても仕事がオンラインでできるかはまた別の話です。

三つ目は、リモートベース、もしくはオフィスベース、それぞれに向き不向きがはっきりしている点です。これは二つ目のポイントにも通じますが、明らかにリモートが向いてない人というのはいます。学生のうちは、友人や先輩など気軽に頼れる人の存在のおかげで積極的にリモート授業を受けていなくても卒業できる学生というのは、やはり一定数います。そういう人材は対人能力や調整力などに長けている場合もありますが、リモート環境下では自己管理が難しいというのも事実です。

こうした特徴を念頭に、来年向い入れる社員にとって働きやすい職場はどのような環境なのか、改めて考えてみてはいかがでしょう。

企業側にもとめらる工夫はなにか

リモート継続か、廃止か

調査結果からもわかるように、リモート勤務は従業員にとっては非常に都合のいい勤務形態であることは間違いありませんし、そのおかげで通勤時間や準備の時間が短縮されるため生活の質が向上するのも肯けます。しかしそんなリモートにも弊害はあります。例えば今までも紹介してきた通り、モチベーションの維持が難しい点です。学生たちがリモート授業を継続できたのは、「新鮮さ」と「プレッシャー」です。彼らがモチベを維持できるためには、ある程度の環境の変化と圧力が必要でしょう。それらを実現する施策を考えるには、完全にリモートにするかしないかといった議論ではなく、社員の意思を尊重した上で最適な働き方を模索してみましょう。例えば、定期的に上司との面談を組み、目標設定を明確に行うなどすることで、社員一人一人がやるべき仕事を明確化することが挙げられます。定期的に面談が行われることで気持ちの切り替えが行われると同時に、目標が上司との間で共有されているため、社員にとっては達成するべきものとして仕事への意識を高めることができるでしょう。他にも、毎日リモートではなく定期的に出社する日を設定する、もしくはその逆も考えられます。働く環境を定期的に変えることで気分のリフレッシュを図れたり社員自身が自分にとって生産性の高い働き方を見つけることができるかもしれません。

現状、学生を受け入れる準備はできていますか?

現在リモートワークに移行した企業やそうでない企業も様々ではありますが、これから入社してくる人材はリモートに慣れ親しんだ人材ばかりです。だからといって最初から完全リモートで突き放してしまうのでは生産性は上がりません。もしもリモートスタンダードな企業なら、どれぐらいのペースで現状確認を行うか、どのように社員とコミュニケーションをとるか、そもそも現在の働き方は従業員にマッチしているのか、など、リモートツールを導入しただけでは解決しない問題が山積みなはずです。オフィスベースの企業であっても、24卒の人材がいきなり毎日対面の環境についてこれるのか、リモートでできる仕事はないのか、柔軟な働き方に対応できているのか、など、リモートという働き方が台頭した今となっては向き合うべき課題がたくさんあります。どのような働き方にせよ、ツールや仕組みを導入しただけでは従業員が満足して働くことはできません。ましてやリモートでの生活が当たり前の24卒人材が定着しやすい環境づくりのためには、もっと職場の本質的な部分まで目を向けなければなりません。1年後の新入社員はあなたの企業の働き方をどう思うのでしょうか。

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男女平等って何すればいいの?人事制度の面からお答えしますhttps://ori-plan.com/hr-lab/operation/gender2023/Mon, 02 Oct 2023 16:23:42 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1442

目次 はじめに 日本における男女格差の歴史的文脈と現代の原因 国の歴史的な観点から 人事制度の観点から 企業が取り組むべき5つの施策 1. トップダウンでジェンダーダイバーシティを推進する 2. 柔軟な働き方を推進する ... ]]>

はじめに

日本は世界で最も男女平等度が低い国の一つです。世界経済フォーラム(WEF)が発表した2020年の「ジェンダーギャップ指数」では、153カ国中121位という低い順位にランクされました。この指数は、経済、教育、健康、政治の4つの分野で男女間の格差を測定していますが、日本は特に経済分野で大きな差が見られます。経済参加と機会の指標では、153カ国中121位、賃金格差では144位という惨憺たる状況です。

日本企業における男女格差の原因は、歴史的・文化的・制度的な要因が複雑に絡み合っています。戦後の高度経済成長期に形成された「男性中心の雇用システム」や「家父長制的な家族観」、長時間労働や残業が多い労働環境、出産・育児・介護などの家事負担が女性に偏っていること、無意識の偏見や固定観念に基づく性別役割分担などが、女性のキャリア形成や昇進を妨げています。

このような男女格差は、日本企業にとっても大きな損失です。女性の能力や才能を十分に活用できないことは、人材不足やイノベーションの停滞、国際競争力の低下などのリスクを高めます。実際、マッキンゼーやOECDなどの研究機関は、ジェンダーダイバーシティを推進することで、経済成長や生産性向上などのビジネス的なメリットが得られることを報告しています。また、社会全体としても、少子高齢化や経済停滞、ジェンダー平等への国際的な評価低下などの問題を招きます。

そこで本記事では、日本企業が男女格差を改善するために必要な施策を提案します。まず、日本における男女格差の歴史的文脈を概観し、現代の男女格差の原因を分析します。次に、企業が取り組むべき5つの施策を紹介します。それぞれの施策について、具体的な内容や効果、実践例を示します。最後に、まとめと今後の課題を述べます。

日本における男女格差の歴史的文脈と現代の原因

日本における男女格差は、近代化以降の歴史的変遷と密接に関係しています。明治維新以降、日本は西洋列強に追随するために急速な近代化を進めましたが、その過程で「文明開化」と「伝統文化」の間で矛盾や摩擦が生じました。特に、女性の地位や役割に関しては、西洋的な近代化と日本的な伝統の間で揺れ動くことになりました。

国の歴史的な観点から

明治期には、女性の教育や就労が奨励され、女性参政権運動も盛んになりましたが、一方で家父長制や男尊女卑の観念も根強く残りました。大正期には、大正デモクラシーや文化運動の中で女性の社会進出が進み、大正期には、大正デモクラシーや文化運動の中で女性の社会進出が進みましたが、一方で戦時体制や国家主義の高まりによって女性の自由や権利が制限されました。昭和期には、戦後の混乱期には女性の労働力が必要とされ、1946年には女性参政権が認められましたが、一方で高度経済成長期には「男性中心の雇用システム」や「家父長制的な家族観」が確立されました。

このように、日本の近代化は男女平等を目指す一方で、男女不平等を再生産する矛盾を抱えてきました。現代においても、この矛盾は解消されていません。日本は法律や制度面では男女平等を保障していますが、実際の社会や企業では男女間に多くの格差が存在しています。その原因として、以下のような要因が挙げられます。

  • 長時間労働や残業が多い労働環境:日本では労働時間が長く、残業や休日出勤が多いことが問題視されています。このような労働環境は、仕事と家庭の両立を困難にし、特に出産・育児・介護などの家事負担が多い女性にとってはキャリアアップの障害となります。また、長時間労働はパフォーマンスや健康にも悪影響を及ぼし、イノベーションや生産性の向上にもつながりません。
  • 出産・育児・介護などの家事負担が女性に偏っていること:日本では家事分担が男女間で不均衡です。内閣府の調査によると、2019年時点で夫婦共働き世帯における平日の家事時間は、妻が3時間41分なのに対し夫は1時間1分という大きな差があります。また、育児休業取得率も2019年時点で妻は83.9%なのに対し夫は7.48%という低さです。このような家事負担の偏りは、女性の就労意欲やキャリア形成を阻害するだけでなく、夫婦関係や子どもの発達にも悪影響を与えます。
  • 無意識の偏見や固定観念に基づく性別役割分担:日本では「男性は外で働き、女性は内で働く」という性別役割分担が強く意識されています。これは教育やメディアなどで繰り返し強調されてきたものであり、多くの人々が無意識的に受け入れています。このような性別役割分担は、女性が仕事を続けることや管理職に就くことに対して社会的な支持や評価が得られにくくなっています。また、企業内でも、女性に対して低い期待や偏った評価が行われることがあります。例えば、女性は家庭を優先するというステレオタイプに基づいて、重要なプロジェクトや海外赴任などのチャンスを与えられないことがあります。

人事制度の観点から

日本企業において男女格差が埋まらない理由を、人事制度の観点から教えていただきます。人事制度とは、企業が社員の採用や配置、評価や報酬、教育や育成などを行うためのルールや仕組みのことです。人事制度は、社員のモチベーションやパフォーマンス、キャリア形成などに大きな影響を与えます。そのため、人事制度が男女平等に配慮されていない場合、男女間に格差が生じやすくなります。

日本企業における人事制度には、以下のような特徴があります。

  • 年功序列制:年齢や勤続年数に応じて昇給や昇進を行う制度です。この制度は、長期的な雇用安定や忠誠心を重視する日本企業の文化に合致していますが、一方で、能力や成果に基づく評価や報酬を妨げることもあります。また、この制度は、男性が主たる労働者であり、女性が家庭内での役割を担うという前提に基づいています。そのため、女性が出産や育児などでキャリアの途中で休業や退職をすると、再就職や復帰後に年功序列制に沿った待遇を受けられなくなります。
  • 一括採用制:新卒者を一定期間に集中して採用する制度です。この制度は、新卒者の能力や適性を均一化し、教育や育成を効率化することを目的としていますが、一方で、中途採用者やキャリアチェンジ者の受け入れを困難にすることもあります。また、この制度は、学生時代から就職活動に専念し、一定の年齢で就職することを前提としています。そのため、女性が出産や育児などで就職活動を遅らせたり中断したりすると、一括採用制に沿った就職機会を失うことになります。
  • 終身雇用制:社員を定年まで雇用することを原則とする制度です。この制度は、社員の雇用安定や組織への帰属意識を高めることを目的としていますが、一方で、転職や再就職の機会や柔軟性を低下させることもあります。また、この制度は、一度就職したら定年まで同じ企業で働き続けることを前提としています。そのため、女性が出産や育児などで退職したり休職したりすると、終身雇用制に沿った雇用保障を受けられなくなります。

以上のように、日本企業における人事制度は、男女平等に配慮されていない場合が多くあります。その結果、女性は男性よりも不利な待遇や評価を受けたり、キャリア形成や昇進の機会を失ったりすることになります。これが、日本企業において男女格差が埋まらない理由の一つと言えるでしょう。

以上のように、日本企業における男女格差の原因は、歴史的・文化的・制度的な要因が相互に影響しあって生じていると言えます。これらの要因を変えることは容易ではありませんが、企業は自らの経営戦略や組織風土を見直し、ジェンダーダイバーシティを推進することで男女格差を改善することができます。次の章では、企業が取り組むべき3つの施策を紹介します。

企業が取り組むべき5つの施策

1. トップダウンでジェンダーダイバーシティを推進する

ジェンダーダイバーシティを推進するためには、経営者や管理職が率先して取り組むことが重要です。トップダウンでジェンダーダイバーシティを推進することで、以下のような効果が期待できます。

  • 経営戦略やビジョンにジェンダーダイバーシティを組み込むことで、企業全体の方向性や目標を明確にする。
  • 経営者や管理職が自らジェンダーダイバーシティに関する知識や意識を高めることで、リーダーシップやモデルケースを示す。
  • 経営者や管理職が部下や同僚に対してジェンダーダイバーシティに関する啓発や教育を行うことで、組織風土や文化を変革する。

実践例としては、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)が挙げられます。みずほFGは2016年から「ダイバーシティ&インクルージョン推進室」を設置し、グループ全体の取り組みを統括しています。また、代表取締役社長兼CEOの佐藤康博氏は自ら「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」の委員長を務め、ジェンダーダイバーシティに関する方針や目標を策定し、実行に移しています。さらに、経営者や管理職に対しては、ジェンダーダイバーシティに関する研修やワークショップを実施し、意識改革やスキルアップを図っています。このような取り組みの結果、みずほFGは2019年時点で女性管理職の割合が13.5%となり、金融業界の中でも高い水準に達しています。

2. 柔軟な働き方を推進する

柔軟な働き方を推進することで、以下のような効果が期待できます。

  • 労働時間や場所、方法などを個人の状況やニーズに合わせて調整することで、仕事と家庭の両立やワークライフバランスを向上させる。
  • 労働生産性やパフォーマンスを高めることで、イノベーションや競争力を強化する。
  • 女性だけでなく男性も育児休業や介護休業などの制度を利用しやすくすることで、家事分担の平等化やジェンダー役割分担の見直しを促進する。

実践例としては、マネーフォワードが挙げられます。マネーフォワードは「働き方改革」を掲げており、以下のような施策を実施しています。

  • フルフレックス制度:出社時間や退社時間を自由に決めることができる制度。目標管理制度に基づいて成果を評価するため、労働時間ではなく成果に注目する文化が醸成されている。
  • リモートワーク制度:自宅やカフェなどで仕事をすることができる制度。コロナ禍では全社員がリモートワークに移行し、オンラインでのコミュニケーションやコラボレーションの方法を工夫している。
  • フルタイム正社員以外の雇用形態の多様化:パートタイム社員や契約社員などの雇用形態も積極的に採用しており、個人のライフスタイルやキャリアプランに合わせた働き方ができるようにしている。

このような取り組みの結果、マネーフォワードは女性社員の割合が40%と高く、女性管理職の割合も20%となっています。また、男性社員の育児休業取得率も100%となっており、家事分担の平等化も進んでいます。

3. 女性のキャリア開発やメンタリングを支援する

女性のキャリア開発やメンタリングを支援することで、以下のような効果が期待できます。

  • 女性が自分の強みや目標を明確にし、自信やモチベーションを高めることで、キャリアアップの意欲や能力を向上させる。
  • 女性が経験豊富な先輩や役割モデルからアドバイスやフィードバックを受けることで、課題や問題の解決策を見つけることができる。
  • 女性が同じ立場や志向の仲間と交流することで、情報や知識の共有や相互支援を行うことができる。

実践例としては、アクセンチュアが挙げられます。アクセンチュアでは、女性のキャリア開発やメンタリングを支援するために、以下のような施策を実施しています。

  • キャリアカウンセリング:女性社員に対して、キャリアプランや目標設定、スキル開発などに関する個別のカウンセリングを提供しています。カウンセラーは女性のキャリアに精通した専門家や経験豊富な先輩社員です。
  • メンター制度:女性社員に対して、自分の希望に応じてメンターを選ぶことができる制度です。メンターは自分の専門分野や業務内容、キャリア経験などに基づいてマッチングされます。メンターは女性社員に対して、仕事上の課題や問題の解決策、キャリア形成や昇進のためのアドバイスやフィードバックなどを提供します。
  • ネットワーキングイベント:女性社員に対して、同じ立場や志向の仲間と交流することができるイベントを定期的に開催しています。イベントでは、情報や知識の共有や相互支援、業務外の交流などが行われます。また、役割モデルとなる女性管理職や外部の著名人も招待し、講演やパネルディスカッションなども行われます。

このような取り組みの結果、アクセンチュアでは女性社員の離職率が低く、キャリア満足度も高いことが報告されています。また、女性社員の昇進率も高く、2020年時点で女性管理職の割合は25%に達しています。

4. 女性へのポジティブ・アクションを実施する

ポジティブ・アクションとは、男女平等を実現するために、女性に対して一定の優遇措置を行うことです。ポジティブ・アクションを実施することで、以下のような効果が期待できます。

  • 女性の管理職や役員の割合を一定の水準に引き上げることで、女性の社会進出やリーダーシップの機会を増やす。
  • 女性の管理職や役員が増えることで、組織の意思決定や戦略に多様な視点や価値観を反映させることができる。
  • 女性の管理職や役員が増えることで、女性社員に対するロールモデルやモチベーションを提供することができる。

実践例としては、日本航空(JAL)が挙げられます。JALは2019年から「女性役員登用促進プログラム」を開始し、女性役員の割合を2020年までに10%以上にするという目標を掲げました。このプログラムでは、女性役員候補者に対して、専任のキャリアカウンセラーやメンターを付けるなどの支援を行っています。また、女性役員候補者に対しては、役員ポストへの推薦や優先的な配置などの優遇措置も行っています。このような取り組みの結果、JALは2020年時点で女性役員の割合を10.5%に達成しました。

5. 女性向けの福利厚生や制度を充実させる

女性向けの福利厚生や制度を充実させることで、以下のような効果が期待できます。

  • 女性が出産・育児・介護などのライフイベントに対応しやすくすることで、仕事と家庭の両立やキャリア継続を支援する。
  • 女性が健康や美容などの自己投資に時間や費用をかけられるようにすることで、自信や満足度を高める。
  • 女性がスキルアップやキャリアチェンジなどの自己実現に挑戦しやすくすることで、キャリアアップの可能性を広げる。

実践例としては、ユニクロが挙げられます。ユニクロは「女性活躍推進プロジェクト」を展開し、女性向けの福利厚生や制度を充実させています。具体的には、以下のような施策を実施しています。

  • 出産・育児支援:出産祝金や育児休業手当などの経済的支援や、育児休業中でも昇給や昇格が可能な制度などのキャリア支援を行っています。また、保育園や学童保育所などの提携施設を利用できる制度もあります。
  • 健康・美容支援:健康診断や乳がん検診などの無料受診や、エステサロンややヘアサロンなどの提携施設を割引価格で利用できる制度があります。また、ユニクロの商品を社員割引で購入できる制度もあります。
  • スキルアップ・キャリアチェンジ支援:社内外の研修やセミナー、資格取得などに関する費用の一部を補助する制度があります。また、社内公募制度や自己申告制度により、自らのキャリアに関する意思表示や挑戦ができる環境が整っています。

このように、ユニクロは女性向けの福利厚生や制度を充実させており、女性社員の働きやすさや満足度を高めています。また、女性社員の割合も40%と高く、女性管理職の割合も20%となっています。

まとめと今後の課題

本記事では、日本企業が男女格差を改善するために必要な施策を挙げてみました。まずは日本における男女格差の歴史的文文脈から現代の男女格差の原因を分析しました。次に企業が取り組むべき5つの施策として、トップダウンでジェンダーダイバーシティを推進すること、柔軟な働き方を推進すること、女性のキャリア開発やメンタリングを支援すること、女性へのポジティブ・アクションを実施すること、女性向けの福利厚生や制度を充実させることの5つを事例として紹介しました。また、それぞれ具体的な企業の取り組みも上げましたのでぜひ参考にしてください。

とはいえ、当然ですがこれらの施策だけでは男女格差を完全に解消することはできません。企業だけでなく、政府や社会も協力してジェンダーダイバーシティを推進する必要があります。政府は法制度や制度改革を行い、女性の社会参加やリーダーシップの機会を増やすことが求められます。社会は教育やメディアなどを通じて、性別役割分担やステレオタイプなどの無意識の偏見や固定観念を払拭することが必要です。女性だけでなく男性も自分の役割や価値観を見直し、多様な働き方や生き方を尊重し合うことが、男女共同参画社会の実現につながるでしょう。
一企業として、いまできるアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

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従業員の健康、守れてますか?中小企業のヘルスケアの実態について解説https://ori-plan.com/hr-lab/operation/health2023/Thu, 31 Aug 2023 16:29:13 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1437

従業員のヘルスケアとは、従業員の健康状態や生活習慣を把握し、適切な支援や指導を行うことで、従業員の健康を保持・増進することを指します。従業員のヘルスケアは従業員自身の健康や幸福感だけでなく、企業の生産性や競争力にも大きく ... ]]>

記事のサマリー(要約)
厚生労働省が実施した「中小企業における健康経営に関する認知度調査」によると、中小企業で健康経営に取り組んでいる割合は約2割であり、約7割が取り組んでいないと回答しています。また、取り組んでいない理由として最も多かったのは「人手不足や時間不足で取り組めない」というものでした。さらに、中小企業では従業員の健康状態や生活習慣に関するデータが不足していることも課題です。これらの課題を解決するためには、中小企業が健康経営を促進する具体的な施策を実施する必要があります。例えば、健康経営優良法人認定制度への申請、従業員の健康状態や生活習慣に関するデータの収集と分析、従業員の健康増進や生活習慣改善に関する事業の実施などが挙げられます。

従業員のヘルスケアとは、従業員の健康状態や生活習慣を把握し、適切な支援や指導を行うことで、従業員の健康を保持・増進することを指します。従業員のヘルスケアは従業員自身の健康や幸福感だけでなく、企業の生産性や競争力にも大きく影響します。実際、従業員のヘルスケアに積極的に取り組む企業は、従業員の離職率や欠勤率が低く、売上高や利益率が高いという研究結果もあるくらいです。
では、どのように従業員のヘルスケアに取り組めばよいでしょうか?まずは、現状把握が重要です。中小企業の従業員のヘルスケアの現状と実態から浮き彫りになる課題点を見てみましょう。

中小企業の従業員のヘルスケアの現状と課題

厚生労働省が実施した「中小企業における健康経営に関する認知度調査」によると、中小企業で健康経営に取り組んでいる割合は約2割であり、約7割が取り組んでいないと回答しています。また、取り組んでいない理由として最も多かったのは「人手不足や時間不足で取り組めない」というものでした。これは、中小企業が人事担当者や健康管理者を専任で置けない場合が多く、人事管理や健康管理に対する負担が大きいことを示しています。
さらに、中小企業では従業員の健康状態や生活習慣に関するデータが不足していることも課題です。厚生労働省が実施した「中小企業等におけるストレスチェック制度等実施状況調査」によると、中小企業でストレスチェック制度を実施している割合は約5割であり、実施していない割合は約4割です。また、実施している中小企業でも、ストレスチェックを受診した従業員の割合は約6割であり、受診しなかった理由として最も多かったのは「受診する必要性を感じなかった」というものでした。これは、中小企業では従業員自身が自分の健康状態やストレスレベルを正しく把握していない可能性が高いことを示しています。
このように、中小企業では従業員のヘルスケアに対する意識や取り組みが不十分であり、従業員の健康状態や生活習慣に関するデータが不足していることが課題となっています。これらの課題を解決するためには、中小企業が健康経営を促進する具体的な施策を実施する必要があります。

中小企業の健康経営を促進する具体的な施策

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。健康経営に取り組むことで、従業員の健康やモチベーションを高めるとともに、企業の生産性やブランドイメージを向上させることができます。中小企業が健康経営を促進するためには、以下のような具体的な施策を実施することが有効です。

1. 健康経営優良法人認定制度への申請

健康経営優良法人認定制度は、経済産業省が主催し、日本経済新聞社が運営する制度で、優良な健康経営に取り組む法人を認定し、社会的に評価することを目的としています。健康経営優良法人認定制度には、大規模法人部門と中小規模法人部門があり、中小企業は中小規模法人部門への申請が可能です。中小規模法人部門では、以下の5つの項目について自己申告書を提出し、審査委員会による審査を受けます。

健康経営優良法人認定制度への申請には、以下のようなメリットがあります。

  • 認定されることで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価されることができます。
  • 認定されることで、日本経済新聞社や各種メディアで紹介されることがあり、企業のブランドイメージや知名度を高めることができます。
  • 認定されることで、各種セミナーや勉強会などに参加する機会が増えます。これにより、他の優良な健康経営法人と情報交換やネットワークづくりを行うことが期待できます。例えば、健康経営優良法人認定制度と連携した「健康経営優良法人認定制度特別枠」では、中小企業が健康経営に関するコンサルティングや研修などを受ける際に、最大50万円の補助金を受けることができます。また、健康経営優良法人認定制度と連携した「健康経営優良法人認定制度特別枠」では、中小企業が従業員の健康診断やストレスチェックなどを実施する際に、最大10万円の補助金を受けることができます。さらに、健康経営優良法人認定制度と連携した「健康経営優良法人認定制度特別枠」では、中小企業が従業員の健康増進や生活習慣改善などに関する事業を実施する際に、最大30万円の補助金を受けることができます。これらの支援制度や優遇措置は、中小企業が健康経営に取り組む際の費用負担や財政的な負担を軽減することができます。

このように、健康経営優良法人認定制度への申請は、中小企業が健康経営に取り組む際のメリットが多くあります。自社の取り組みの一環として検討してみるのも良いでしょう。

2. 従業員の健康状態や生活習慣に関するデータの収集と分析

従業員のヘルスケアに取り組むためには、従業員の健康状態や生活習慣に関するデータを収集し、分析することが必要です。データを収集する方法を紹介しましょう

  • 健康診断: 従業員の身体的な健康状態を測定するために、年1回以上の健康診断を実施します。健康診断では、血圧や血糖値、コレステロール値などの生活習慣病のリスク因子や、肝機能や腎機能などの臓器機能などをチェックします。また、肺活量や握力などの身体能力も測定します。
  • ストレスチェック: 従業員の精神的な健康状態を測定するために、年1回以上のストレスチェックを実施します。ストレスチェックでは、従業員が自己評価するアンケートにより、ストレスの原因や症状、対処法などを把握します。また、医師や保健師などの専門家による面談や相談も行います。
  • アクティビティトラッカー: 従業員の生活習慣を測定するために、歩数計や心拍計などのアクティビティトラッカーを利用します。アクティビティトラッカーでは、従業員の歩数や消費カロリー、睡眠時間などを記録し、スマートフォンやパソコンで確認できます。

これらのデータを収集することで、従業員の健康状態や生活習慣に関する客観的な指標を得ることができます。また、データを分析することで、従業員の健康状態や生活習慣に関する傾向や問題点を把握することができます。例えば、健康診断の結果からは、従業員の生活習慣病のリスクや身体能力の低下などを見つけることができます。ストレスチェックの結果からは、従業員のストレスの原因や症状、対処法などを見つけることができます。アクティビティトラッカーの結果からは、従業員の運動量や睡眠時間などを見つけることができます。
これらのデータを用いることで、従業員のヘルスケアに必要な支援や指導を行うことができます。例えば健康診断の結果からは、従業員に食事や運動などの生活習慣改善のアドバイスや指導、ストレスチェックの結果からは、従業員にストレス管理やメンタルヘルスケアなどのアドバイスや指導を行うことができます。アクティビティトラッカーの結果からは、従業員に歩数目標や睡眠目標などの設定や達成を促すことができます。
以上のように、従業員の健康状態や生活習慣に関するデータを収集し分析することは、中小企業が従業員のヘルスケアに取り組む際の有効な施策です。

3. 従業員の健康増進や生活習慣改善に関する事業の実施

従業員のヘルスケアに取り組むためには、従業員の健康増進や生活習慣改善に関する事業を実施することが必要です。事業を実施する方法としては、以下のようなものがあります。

  • 健康教育: 従業員に健康に関する知識やスキルを提供するために、健康教育を実施します。健康教育では、食事や運動、ストレス管理、メンタルヘルスケアなどのテーマに沿って、講義やワークショップなどの形式で、従業員に情報やアドバイスを提供します。また、従業員同士の交流や意見交換も行います。
  • 健康支援: 従業員に健康増進や生活習慣改善の機会や環境を提供するために、健康支援を実施します。健康支援では、歩数コンテストやウォーキングイベントなどの運動促進プログラムや、フルーツやサラダなどの健康食品の提供や割引などの食事支援プログラムなどを実施します。また、禁煙支援やアルコール対策などの依存症予防プログラムも実施します。
  • 健康相談: 従業員に健康に関する個別的な相談やカウンセリングを提供するために、健康相談を実施します。健康相談では、医師や保健師などの専門家が従業員の健康診断やストレスチェックの結果に基づいて、従業員に適切な指導やアドバイスを行います。また、従業員が自ら相談したい場合も受け付けます。

これらの事業を実施することで、従業員の健康増進や生活習慣改善に対する意識やモチベーションを高めることができます。また、従業員の健康状態や生活習慣に応じた個別的な支援や指導を行うことができます。さらに、従業員同士のコミュニケーションやチームワークも向上させることができます。
以上のように、従業員の健康増進や生活習慣改善に関する事業を実施することは、中小企業が従業員のヘルスケアに取り組む際の有効な施策です。事業実施に関する方法や事例などの詳細は、[中小企業基盤整備機構のウェブサイト]をご覧ください。

従業員のヘルスケアは、従業員自身の健康や幸福感だけでなく、企業の生産性や競争力にも大きく影響します。中小企業は、健康経営優良法人認定制度への申請、従業員の健康状態や生活習慣に関するデータの収集と分析、従業員の健康増進や生活習慣改善に関する事業の実施などの具体的な施策を実施することで、従業員のヘルスケアに取り組むことができます。ぜひ、参考にしてみてください。

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採用活動でペルソナを作るメリットは?設計方法や項目、具体例を解説https://ori-plan.com/hr-lab/operation/persona/Tue, 01 Aug 2023 02:07:39 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1379

採用活動で重要なペルソナとは

採用活動において、「どのような人物を採用したいか」をイメージすることは、とても重要です。今回は、その手法の一つである「ペルソナ」について紹介します。

ペルソナとは

ペルソナは、自社が求める架空の人物像のことで、性別や年齢、居住地、家族構成、趣味、ライフスタイルなどを細かく設計します。主にマーケティングで取り入れられている考え方ですが、採用活動を行う際にも有効です。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナは、一人の人物像の設定を絞り、行動特性などまで想定します。一方で、ターゲットは、年代や性別などを大枠で設定することが多く、ペルソナほど細かく設定しません。

社内で求める人材の認識を一致させ、効率的に採用活動を行う場合、より詳細なイメージである「ペルソナ」の設定が重要です。

採用活動でペルソナ設計をするメリット

ペルソナを設計すると、より効率的に採用活動を進められます。ここでは、具体的なメリットをご紹介します。

ミスマッチを防いで定着率を高められる

詳細なペルソナを設定しておくと、求職者と企業側の「働くイメージ」をできる限りマッチさせられます。これは、結果として入社後のミスマッチや早期離職を防ぎ、会社への定着率アップにつながります。

社内で求める人材のイメージを共有できる

具体的なペルソナのイメージを立て、社内に共有することで、現場と採用チームでの「求める人材」のズレを少なくできます。選考基準が明確になるのはもちろん、採用活動における部署間のコミュニケーションがスムーズになり、業務効率が上がることも期待できます。

採用活動におけるペルソナ設計の3ステップ

採用活動でペルソナを設計する場合の手順についてご紹介します。

1. 経営陣・現場に求める人材をヒアリングする

ペルソナを設計する際には、経営陣と実際に受け入れをする現場部門にそれぞれヒアリングを行います。この時、スキルや能力、性格の特性だけでなく、自社の社風に合う人物とはどんな人材なのかまで言及できると定着率がアップする可能性が高まります。

また、実際に働いている社員にインタビューを実施し、ペルソナのモデルとすることも有効な手段の一つです。このようにして、求める人材の要件を書き出していきましょう。

2. 求める人材の条件をまとめてペルソナを作る

次に、集めた要件をもとに、優先順位付けをして整理し、ペルソナとしてのイメージを固めていきます。各要件からその人物のストーリーを組み立てていきます。例えば、「趣味は〇〇」「仕事をする上で大切にしていることは〇〇」など、その人物のイメージを膨らませて、仮のペルソナを考えていきます。

3. ペルソナにズレがないかを社内で検証する

仮のペルソナを設計したら、経営陣および現場担当者と認識のズレがないかを確認します。新卒採用の場合は、応募者の年齢に近い若手社員からヒアリングを行うとよいでしょう。

それと同時に、実際の市場にいる人物像か、非現実的なペルソナになっていないかについても確認します。もし認識に差異があった場合や無理のある設計になっていた場合は、項目に優先順位をつけ、調整をしましょう。

採用活動におけるペルソナ設計の項目&具体例

ここからは、ペルソナ設計に必要な項目とその具体例についてご紹介します。

基本情報(年齢・性別・学歴・年収など)

ペルソナを設計する際、まずは年齢や性別、学歴、年収などの基本情報を検討しましょう。これは、採用後スムーズに業務が遂行できるようにするために必要です。また、業務に対する適切な報酬も重要なポイントになるので、併せて検討しましょう。

経験や資格

募集している業務を遂行する上で、必要な資格や経験を具体的に洗い出します。なぜその資格や経験が必要なのか、想定される業務内容はなんなのか、そこに対して最適な人をイメージして設定しましょう。

性格や価値観

採用する人材が、自社にマッチしていないと、会社の方針や意向に沿った業務を行うのは難しいと考えられます。

例えば、安定志向の人材であれば、定期的な収益がある企業で、土日休みをとれる働き方を好む傾向があります。どのような性格や価値観を持つ人材が、自社の環境で働く上でマッチするかを精査して、明確にするとよいでしょう。

ペルソナの具体例

設計するペルソナの具体例を紹介します。自社のニーズに合わせて、項目を追加してご活用ください。

氏名 〇〇 〇〇
性別男性
年齢26歳
学歴〇〇大学〇〇学部卒
現職の年収不動産営業 〇〇〇万円
経験・資格営業経験3年以上、宅地建物取引士
高校時代の部活サッカー部
家族構成4人家族(両親と妹、現在一人暮らし)
趣味フットサル。休日や退勤後に、職場の仲間や学生時代の仲間と汗を流している。
性格の特性コミュニケーション能力が高い。前向きで明るく、行動力がある。
働きたい職場のイメージ一人一人の成長性に重きを置いている。リーダーシップを持ったマネジメント層がいる。
身に着けたいスキルロジカルシンキングとスピード感をもって業務を遂行できるスキル。長期的には、経営やマネジメントスキルも身に着けたい。 

採用活動におけるペルソナ設計のポイント

ペルソナ設計において、重視すべきポイントについてご紹介します。

ペルソナを細かくしすぎない

細かすぎるペルソナは、現実的でなくなってしまったり、採用基準からそれてしまったりする可能性があります。直接的に業務に関係ない項目や、採用方法にこだわりするのはおすすめできません。不必要な情報が入り、細かくなりすぎないように注意しましょう。

ペルソナは複数作る

ペルソナは、一つだけでなく複数用意するとよいでしょう。複数の部署で採用する場合、部署ごとに求める人材が異なることが多いため、一つに絞ると結果的に機会損失になる可能性があります。

特に新卒採用では、将来的な組織の多様性を考慮し、様々な個性を持つ人材を採用したい場合が多いと考えられます。複数のペルソナで対象範囲を広げることで、組織の活性化につなげていきましょう。

定期的にペルソナをブラッシュアップする

応募者が集まらなかったり、良い人材になかなか出会えなかったりする場合は、一度ペルソナの設計を見直す必要があるかもしれません。人材採用のKPIを設定し、設定期日までに応募者が来ない場合はペルソナを見直すなど、ブラッシュアップを続けていくとよいでしょう。

ペルソナ設計後に行う採用活動

ペルソナ設計をしたら、いよいよ採用活動の開始です。求職者に応募してもらいやすくなるポイントについてご紹介します。

求人媒体を選ぶ

ペルソナは、求人媒体を選ぶ際に活用できます。近年の求人サイトは、若手向けやミドル向け、女性向け、専門職向けなど多岐にわたっています。設計したペルソナを軸にし、効果的にアプローチできる媒体やサービスを選びましょう。媒体選びに迷う場合は、代理店にご相談ください。

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求人サイト9媒体の料金・特徴を徹底比較!【料金比較表つき】

募集要項やスカウトメールを作成する

次に、ペルソナに合わせた募集要項やスカウトメールを作成します。ペルソナの立場になったときに、どんな募集要項を魅力的に感じるかイメージして作成するとよいでしょう。

また、ピンポイントにアプローチできるスカウトメールには、訴求力の高いメールを作成できると効率よく採用活動を進められます。

スカウトメールの書きのコツ&例文|職種別に返信率を上げる文面も紹介

選考体験を設計する

募集やスカウトメールで求職者を引き付けられたとしても、選考途中に志望度が落ちてしまうと、辞退されてしまう恐れがあります。どのような選考体験であれば、自社への興味が高まるのか、ペルソナに合わせて検討するとよいでしょう。

ペルソナ設計をして採用活動を成功させよう

ペルソナを設計することは、求める人材の具体的なイメージを明確化できるだけでなく、求める人材のイメージを社内で共有しやすくし、効率的な採用活動を可能にします。ペルソナを定期的にブラッシュアップしながら、求める人材の採用につなげましょう。

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エンゲージメントサーベイ設計方法について解説|あなたの社員、やる気ありますか?https://ori-plan.com/hr-lab/operation/engagementsurvey/Mon, 26 Jun 2023 16:45:53 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1357

目次 エンゲージメントサーベイとは なぜいまエンゲージメントサーベイが必要なのか リモートワークで従業員の顔が見えない 人材の流動性がます社会へ エンゲージメントサーベイ設計の具体的方法は? 設定の手順について 実際にサ ... ]]>

エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは、従業員が会社に対してどの程度の関心・忠誠心・熱意を持っているかを測定するための調査方法です。従業員エンゲージメントは、従業員が自分たちの仕事に取り組む姿勢や会社のビジョンに共感する度合いなど、さまざまな要素によって形成されます。エンゲージメントサーベイは、従業員が会社にどの程度のエンゲージメントを持っているかを把握することで、従業員のモチベーションや生産性の向上、離職率の低下などにつながることが期待されています。例えば、従業員にアンケートを実施して、会社に対する意見や要望、仕事に対する意欲やモチベーション、経営方針に対する理解度などを測定します。アンケートの設問は、会社ごとに異なりますが、一般的には従業員が会社にどの程度の関心を持っているか、どの程度のやりがいを感じているか、上司や同僚とのコミュニケーションがスムーズかどうか、会社のビジョンや方針が理解できているかなどが含まれます。また、アンケートの結果をもとに、従業員が不満を抱えている点や改善の必要性がある点を洗い出し、問題解決につなげることも可能です。

エンゲージメントサーベイは、従業員が会社に対してどの程度の関心や熱意を持っているかを定量的に測定することができ、企業の人事・経営戦略の策定に役立つことが期待されます。

この概念は従業員満足度調査と混同されがちですが、全くの別物です。従業員満足度調査は従業員が自身の仕事や組織に対してどれだけ満足しているかを測定するための調査です。この調査では、従業員の意見や感情に基づいて、給与、労働条件、職場環境、上司のサポートなど、さまざまな要素についての評価を行います。従業員満足度調査は、従業員の不満や問題点を特定し改善するために使用されることが多いです。

一方、エンゲージメントサーベイは、従業員の情熱や関与、忠誠心、仕事への熱意を測定するための調査です。この調査では、従業員が仕事に対してどれだけ組織に結びついているか、自発的に貢献しているか、組織の目標や価値観に共感しているかなどを評価します。エンゲージメントサーベイは、従業員のモチベーションや関与度を把握し、組織のエンゲージメントレベルを把握するために使用されます。

従業員満足度調査は、従業員の幸福感や不満を把握し、職場環境の改善に焦点を当てます。一方、エンゲージメントサーベイは、従業員の組織への情熱や貢献意欲を把握し、組織全体のパフォーマンス向上や成果を目指すという違いがあります。

なぜいまエンゲージメントサーベイが必要なのか

リモートワークで従業員の顔が見えない

今エンゲージメントサーベイの概念が浸透してきているのは、コロナ禍によるリモートワークの影響で、従業員の熱意や意欲が見えない状態になってきているのが原因の一つとも言われています。就業場所が自宅やサテライトオフィスになることで、組織との繋がりが希薄になり、自分が何のために働いているのか、自分の労働が誰のためになっているのか、という意識がどうしても欠けてしまいます。それに伴って、従業員の生産性のや就業意欲の低下に繋がり、離職率の増加も懸念されます。エンゲージメントサーベイは従業員の会社に対する「活力」「熱意」「没頭」の程度を評価するものであり、適切にサーベイを設計し運用することでリモートワークでも従業員のエンゲージメント度合いを測定、フィードバックすることが可能です。

人材の流動性がます社会へ

働き方改革が進む中で、柔軟な働き方やワークライフバランスの重視が求められるようになりました。これにより、定時で帰れない労働環境や過剰な残業が続く職場では、人材が流出する傾向が強まっています。

また、景気回復により就職市場が活性化し、求職者が企業を選ぶ余地が増えました。そのため、待遇面や福利厚生の充実など、働きやすさを追求する企業が求められるようになり、企業側も採用競争に勝ち抜くために人材の流出を防ぐための施策が必要になってきました。

さらに企業によってはキャリアアップの機会が限られている場合があり、そのために転職をする人も増えています。また、転職市場が活性化したことにより、自分に合った職場を探しやすくなったことも一因として考えられます。

これらの要因を複合的に見て、企業文化や理念が自分に合わないと感じると、モチベーションが下がりやすく、転職を考える人も増えます。そのため、企業が明確なビジョンを提示し、従業員とのコミュニケーションを大切にすることが必要です。

従業員のエンゲージメントが高い場合、彼らは仕事に取り組むことが楽しく、やりがいを感じることができます。そのため、会社を去ることを躊躇するでしょう。逆に、エンゲージメントが低い場合、従業員はモチベーションが低くなり、仕事に対して消極的になる可能性があり、会社を去ることを考えるようになるかもしれません。

エンゲージメントサーベイによって、従業員の意見や不満を聞き出すことができ、それに対する改善策を検討することができます。従業員の要望に応えることで、彼らの満足度を高め、エンゲージメントを向上させることができるため、人材流出を抑えることができる可能性があります。

エンゲージメントサーベイ設計の具体的方法は?

設定の手順について

まずは具体的な設定の手順を見ていきましょう。企業によって設定の手順、目的は様々ですので、一個の例として参考にしてください。

  1. 目的設定: サーベイの目的やゴールを明確に定めます。例えば、従業員のエンゲージメントレベルを把握し、職場環境の改善点を特定することや上司と授業員の関係性の改善などが挙げられます。
  2. 項目の選定: エンゲージメントに関連する項目や質問を選定します。一般的には、仕事への意欲ややりがい、組織への帰属感、チームワークなどが含まれます。選定する項目は、組織の特性や目的に合わせてカスタマイズすることも可能です。
  3. 質問形式の決定: サーベイの形式を決定します。質問には、選択肢式、評価尺度、自由回答などの形式があります。適切な形式を選び、質問の明確さと回答の容易さを考慮します。
  4. サンプルの選定: サーベイを実施する対象となる従業員のサンプルを選定します。全体の従業員に対して行う場合もありますが、規模が大きい場合はサンプリングを行うこともあります。
  5. 実施とデータ収集: サーベイを実施し、従業員からの回答データを収集します。データ収集方法としては、オンラインアンケートやインタビューなどが一般的です。回答の匿名性やデータの信頼性を確保することも重要です。
  6. データ分析: 収集したデータを分析し、エンゲージメントレベルや課題・改善点を特定します。統計手法やデータ可視化ツールを使用して、パターンや傾向を把握します。
  7. レポート作成と報告: 分析結果をまとめ、レポートとしてまとめます。報告内容は、エンゲージメントの状況、課題、改善策の提案などを含めることが一般的です。報告は経営陣や関係者に提供され、意思決定やアクションプランの策定に活用されます。

これらの一連のサーベイで忘れてはいけないのは、なんのためにサーベイを行うか、ということです。どういう目的でサーベイに回答してもらうのか、そしてその結果がどのように社員に還元されるのか、サーベイを形骸化しないためにも、従業員全員への具体的な内容の周知が不可欠です。サーベイの回答から報告まで、従業員にとって意味のある形で実施することで従業員の回答率上昇に繋がり、それだけでなく従業員の企業への貢献や帰属意識、といったものが高まる可能性もあります。結果的に、現在問題となっているリモートでのモチベーション低下、コミュニケーション不足や高い離職率の解決につながるでしょう。

次に、サーベイを成功に導くために、従業員の回答率を挙げる方法を紹介します。

実際にサーベイに回答してくれるには?

上記のようにサーベイを設計したところで従業員が回答してくれなくては意味がありません。しかし、リモートワークが拡大する中で従業員の状況を把握するために頻繁に実施されるサーベイに飽きていることも考えられます。また、質問項目によっては常に監視されているように受け取られたりなど、負の影響を与えるリスクも存在します。このように一口にサーベイを行うと言っても、従業員の積極的な回答を促すことは難しい場合が多いです。そのため、一般的な懸念点とそれを解決するためのアプローチをいくつか紹介します。

  1. 匿名性の確保: 従業員は個人情報や意見が匿名であるかを気にする場合があります。回答が匿名であることを明示し、信頼性を高めるためにセキュリティ対策を実施しましょう。
  2. フィードバックの結果: 従業員は自身の回答や評価に対するフィードバックを期待することがあります。結果を公正かつ透明に共有し、改善策やアクションプランを明確に示すことで従業員の関与を促進しましょう。
  3. データの保護とプライバシー: 従業員は自身のデータが適切に保護されることを望みます。データの取り扱いに関して適切なセキュリティ対策を講じ、プライバシーポリシーを明示して従業員の信頼を築きましょう。
  4. アクションの実施: 従業員はサーベイの結果に対する具体的なアクションを期待します。収集したデータをもとに、問題点や改善すべき領域を特定し、それに基づいた改善策や取り組みを実施しましょう。
  5. コミュニケーションとフォローアップ: 従業員はサーベイへの参加とフィードバックに対して適切なコミュニケーションとフォローアップを求めることがあります。結果の共有やアクション計画の進捗報告を定期的に行い、従業員との対話を大切にしましょう。

これらの懸念点に対処するためには、オープンなコミュニケーション、信頼関係の構築、結果に基づいたアクションプランの実施が重要です。従業員の参加意欲やエンゲージメントを高めるために、サーベイへの参加の意義や結果の提示は必須になってきます。

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中小企業の求人に応募が来ない原因は?募集を増やす改善策や採用方法https://ori-plan.com/hr-lab/operation/recnowhow2023/Thu, 25 May 2023 08:37:36 +0000https://ori-plan.com/hr-lab/?p=1320

中小企業の求人に応募が来ない3つの原因

「求める人材になかなか出会えない」「慢性的に人材が不足している」など、中小企業の採用担当者の中には自社求人に対する悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。近年の少子高齢化に伴う労働人口の減少により、転職市場は「売り手市場」です。そのため、大企業に人材が流入しており、中小企業の採用活動は以前より難しくなっています。まずは、中小企業の求人に応募が来ない原因を探っていきましょう。

1. 企業の認知度が低い

情報発信が不足しているため、自社の名前はもちろん、実績や評価がそもそも知られていないことが考えられます。特に中小企業の場合は、採用活動に時間も費用もあまりかけられないことが多く、どうしても情報発信が後回しになってしまいます。

その結果、具体的にどんなことを行ってきて、どのように社会に貢献しているのかがあまり世間に浸透しておらず、求職者も働くイメージがわきづらいため、応募に至らない可能性があります。

2. 大企業と比較されている

中小企業は、大企業と比較して「賃金が少ない」「倒産する可能性がある」「従業員が少ないため、業務量が多い」などのマイナスイメージを持たれがちです。求職者の多くは、今よりも高い給与や安定を求めており、少しでも良い労働環境の職場を希望しています。すると、必然的に大手の企業に魅力を感じる人も少なくないでしょう。

3. 採用方法が合っていない

採用方法が、ターゲットや時代に合っていない可能性も考えられます。例えば、中小企業の中には、ハローワークで求人掲載をしている会社もあるかもしれません。ハローワークは無料で求人掲載ができるメリットがある一方で、限られた情報しか掲載できず、スピード感のある採用活動も難しいなどのデメリットもあります。

また、30代以上の利用が多いため、20代の採用を考えている企業にはあまり向かない採用方法です。若手はインターネットを活用した転職活動を行うケースが多いため、Web求人媒体などを活用するのが適切な採用方法といえるでしょう。

人材募集の方法13選|採用を成功させるポイント、Web求人媒体利用のコツ

中小企業の求人に応募が来ない場合の5つの改善策

求人に応募がなかなか来ないときは原因を考え、それに対する改善策を検討しましょう。ここからは、求人に応募が来ない場合の5つの改善策を紹介します。

1. 認知度を高める

まずは自社の認知度を高めていくために、インターネット上の情報を増やしていきましょう。例えば、自社ホームページの他に採用ページを作成し、画像や動画を用いて会社の魅力を掲載すると、さらに求職者にイメージが伝わりやすくなります。求職者から「この求人まだ募集してるかな?」「この情報は古そうだから、応募するのはやめておこう」と思われないように、適宜情報を更新することも重要です。

さらにTwitterやInstagramなどのSNSを活用するのも一つの手法です。拡散性が高く、多くの人の目に触れやすいSNSの特徴を活かして、自社を広く知ってもらう取り組みを行っていきましょう。

2. 求人情報を詳しく記載する

求人情報には業務内容だけでなく、休暇取得率や福利厚生の魅力、職場環境など、求職者が気になる情報を盛り込みましょう。1日の仕事の流れやキャリアパスなど、転職後の働き方をイメージしやすくなる情報も掲載すると、求職者の目に留まりやすくなります。

併せて、中小企業ならではの魅力も伝えると効果的です。例えば、「責任のあるポジションにつき、やりがいのある仕事ができる」「社内の風通しがよく、自由度が高い」など、客観的視点でポジティブな情報を記載すると魅力的にうつります。

応募が来ない担当者必見! 応募が来ない原因と応募の集まる求人募集のやり方を紹介

3. 労働条件を相場に合わせて整える

労働条件も求職者が気になる情報の一つです。他社と比較して見劣りしないか確認し、給与や労働時間、休日数、福利厚生などの相場観をつかんでおくとズレがありません。もし、自社の条件が他社よりも大幅に下回っている場合は、改善を検討しましょう。

4. テレワーク導入でターゲット層を広げる

電話やチャット、オンラインミーティングなどを活用した在宅勤務ができることは、求職者にとっては大きな魅力の一つです。テレワークを導入することで、従来の働き方では就職が難しかった求職者へのアプローチもできます。例えば、子育てや介護をしている方、地方に住んでいる方などに対し、働きやすい環境や条件を提示すれば、採用ターゲットとして取り込めるでしょう。

5. 内定後のフォローを充実させる

採用活動を行い、内定を出したとしても、辞退されてしまっては意味がありません。内定辞退をできる限り減らすために、内定者に対するフォローアップを実施しましょう。きめ細やかな対応やコミュニケーションはもちろん、入社前までに先輩社員との顔合わせの機会をつくり、ざっくばらんに質問ができる場を設ければ、求職者の疑問や不安を解消できます。中小企業ならではの会社のあたたかさや風通しの良さを活かしたコミュニケーションを入社前にもしっかり行いましょう。

中小企業の求人におすすめの採用方法

改善策に加えて採用方法も見直すと、さらなる応募が期待できます。特に中小企業にマッチする採用方法を紹介します。

Web求人媒体

いわゆる求人サイトを活用した採用活動の手法です。昨今、スマートフォンでの求職活動をする人が大幅に増加しています。そのため、情報が整理され、画面に最適化されている求人サイトへの掲載は、時代にマッチした採用方法といえます。コストはかかりますが、その分の効果も大きいため、ぜひ利用を検討したい採用方法です。

IT系や看護・医療など専門職向けの媒体や、女性に特化したサービスなど、媒体ごとにターゲット層が異なるため、どの媒体に掲載するかは非常に重要です。媒体選びに迷う場合は、代理店にご相談ください。

代理店へのお問い合わせはこちら

求人サイト9媒体の料金・特徴を徹底比較!【料金比較表つき】

自社採用ページ

自社ホームページとは別に、採用のページを作成することも一つの方法です。会社の理念やどのような目的があるのか、社員の声やブログなどを掲載できます。自社が管理するページのため、動画や写真の数などに制限がなく、自社の強みや魅力をアピールしやすいでしょう。年間10人以上の採用を行いたい場合は、メリットが大きいといえます。

採用サイトで必要なコンテンツとは?求職者が気になる情報を解説!

SNS採用

攻めの採用活動を行いたい場合におすすめなのが、SNS採用です。メリットとしては、広い拡散性から知名度を高められることと、こちらから採用候補者とコンタクトをとれることがあげられます。フォロワーに対して定期的に自社の情報を送ることができるため、自社の取り組みと共に、現在採用している職種や仕事内容について投稿していくと良いでしょう。

ソーシャルリクルーティングとは?メリットやSNS別の特徴、やり方、成功事例

求人検索エンジン

「Indeed」や「求人ボックス」などの求人検索エンジンは、無料で求人が掲載できるサービスです。一般的に採用活動には、数十万~数百万の費用がかかり、専任の担当者を置く必要があります。そんな中で広告費をかけずに求人を掲載できる求人検索エンジンは、やっておいて損はない採用活動の一つといえます。

Indeed(インディード)のからくりとは?求人掲載や検索エンジンの仕組みを解説!

中小企業の求人に応募が来ないのなら採用方法を見直そう

中小企業の採用活動では、自社ホームページやSNSで自社の認知度を高めたり、求人情報の内容を見直したりといった工夫が重要です。ターゲットや採用方法の幅も広げれば、より多くの応募が集まるでしょう。競合他社に勝ち、採用を成功させるために、まずはできる改善策から取り入れてみてください。

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